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?T. は じ め に

 

加齢により視機能が変化することは、以前から知られている1)。しかし、航空機乗員の身体検査基準2)において視野は「正常な視野を有すること」、視力は裸眼0.1以上、矯正1.0以上、矯正屈折度数±4D以内、色覚正常であることと規定されているが、現行の航空身体検査においては視機能の加齢変化を検出できる検査はなされていない。したがって、加齢に伴い航空機乗員がどのような問題を有しているかは不明である。そこで本研究では、加齢に伴う視機能特性を明らかにし、これらの加齢変化が航空機乗員の乗務に及ぼす影響について検討するものである。

本年度は、視野について、同一被検者におけるGddmann視野の面積および周囲長の経時的変化を観察し、動的量的視野の加齢変化について検討した。さらに、有水晶体服および眼内レンズ挿入眼に対し、青錐体系反応を選択的に測定可能なЫuec on yellow perimetryにより青錐体系感度を測定し、網膜および視神経以降の加齢変化が青錐体系反応に及ぼす影響について検討した。視力については、眼内レンズ挿入眼の最良矯正視力について年代別に比較し、視力に及ぼす加齢変化の要因について考察した。また色覚に関して、色覚正常者を対象として、色光による色合わせ検査を施行し、等色値の年代別変化ついて検討した。

 

?U. 方法

 

1. 視野の解析

1) 対象および方法

(1) 動的量的視野

対象は、航空医学研究センターおよび東京慈恵会医科大学病院において経時的に視野測定を施行した250例500眼である。いずれも眼科的疾患を有さず、矯正視力は1.0以上であり、平均経過観察期間は6年8カ月(5年2カ月〜8年2カ月)であった。視野測定はGddmann視野計による動的量的視野測定とした。また、経過観察期間中に3回視野測定を施行した。検査視標

 

 

 

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