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2.1.2 完全性の確保

精度とならびGPSの持つ大きな問題は完全性の確保である。FRP-96によるGPSの仕様中には99.7%で500m以上の誤差を発生しないことが記載されているのみで、機上用受信機に要求されているものとは大きな乖離がある。完全性についてもGPSのみでの単独測位では要求を満足出来ない。

MOPSによれば、完全性は

1) WAAS側でGPS完全性情報を準備し、機上用受信機が当該情報を受信、その内容に従って、判断を行うもの(MSASによる完全性)と

2) 特に外部からの完全性情報に依存することなく、受信機自身で完全性の監視を行うもの(RAIMによる完全性)との二種類が必要とされている。

 

FRP-96:1996 FEDERAL RADIONAVIGATION PLAN

 

2.1.2.1 MSASによる完全性

WAAS側で準備する完全性の情報は、地上のモニタ局群において、GPS衛星の信号を受信し、衛星の異常を常に監視し、異常を発見した場合、速やかにMSAS衛星を通じて当該衛星の使用を禁ずる旨のメッセージを放送し、機上の受信機が当該衛星を使用し、誤った位置を出力することを防ぐことが出来る。

また各衛星毎の測距情報の誤差の指標が併せて放送されており、99.9%の信頼性を持って測位結果の誤差を推定することが出来る。

2.1.2.2 RAIMによる完全性

受信機自身で行う完全性の監視は、FD(故障検出)とFDE(故障検出によって故障衛星の特定と排除その後の正常測位の継続)とがある。

(1) FD(Fault Detection)の概要

GPSによる測位は4個の衛星を使用し、3次元の位置と時刻を求めるものが基本である。観測できた4個の擬似距離の値が既知数、3次元の位置と時刻が未知数であり、既知数未知数いずれもが4個のとき、4個の観測量を同時に満たす解を求めることが出来る。

使用出来る衛星の数が5個以上の場合、未知数に対して観測量ひとつが冗長

 

 

 

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