2.6 平成8年度、9年度の測定データを使用した評価
では実際に平成8年度に測定した各種携帯用電子機器からの電波放射レベルおよび経路損失を用いて評価を行ってみる。ここに示す方法はRTCA/DO-233で行っている方法と同じ手法を用いている。
2.6.1 ワーストケース
携帯用電子機器からの電磁干渉波が航空機システムに与える影響を考えるにあたって、ワーストケース、即ちアンテナを含む一つのシステムに対して最小の経路損失および携帯用電子機器から発せられる電磁干渉波の中でその航空機システムが扱う周波数帯での最大放射レベルを評価していく。もしこの評価において影響の可能性が否定されれば、その機種・システムにおいては携帯用電子機器からの影響の可能性は無いと結論できる。
2.6.2 携帯用電子機器からの放射電力
平成8年度に行った各種携帯用電子機器からの電波放射レベル測定はRTCA/DO-160Cに基づいて行っている。これは携帯用電子機器から1m離れた位置での電界強度を測っており、まずこれを携帯用電子機器から放射される電力レベルに換算する必要がある。平成8年度の測定では機器の6面をアンテナに正対して測定を行い最も高い電界強度を記録してある。ここでは携帯用電子機器から全ての方向にその強さで放射されているものと仮定する。実際に放射されている電力よりは大きくなることは明白であるが評価は安全サイドに行われることになるので特に問題はないものと考える。
距離Rのところでの電界強度がEである時、放射源の等価放射電力Ptは以下の式より求められる。