2.2.5 考察
そもそも携帯用電子機器からの微弱電波が航空機システムに影響を与える可能性は非常に低いと考えられている。従って、今回の地上及び飛行中の検証で影響が観測される可能性も低かったと考えられる。今回の検証に用いた携帯用電子機器はいずれも平成8年度の研究の一環として放射レベルの測定を行っているが、約1MHz以下の周波数を除けばRTCA/DO-160CのカテゴリーA及びZの許容値をほとんど満足していることが確認されており、その点でも影響の可能性は非常に低かったものと考えられる。
2.3 機体外部からの電磁波による影響に関する調査
平成8年度は、ボーイング777型式証明発行時の米国連邦航空局発行のイシューぺーパーについて調査を行った。今年度は実際に777で採られた対応について調査を進めた。この種の情報はボーイング社としても社外秘扱いになっており、細部までの情報は入手できなかったが可能な範囲で調査を実施した。
2.3.1 機体外部からの電磁波
機体外部からの電磁波の影響を検討するにあたっては以下の項目が考慮されている。
・ 被雷
・ HIRF(High Intensity Radiated Field:高放射電磁界)
・ 機体からの静電気放射
・ 機体内部の静電気
777ではフライ・バイ・ワイヤーによる機体制御やその他のデジタル技術が多用されており、上記の電磁波源からの電磁界に曝されても安全に飛行を継続できることを証明する必要があった。
2.3.2 被雷
雷による影響には機体に対する直接的な損傷もあるが、ここでは雷電流が機体を流れる際に発生する誘起電圧による影響を軽減するための対応について説明する。ここに述べるものは同時に後述のHIRFに対する対応にもなっている。
・ 個々の機器:個々の機器については従来のレベルより更に高いレベルの電界強度に曝さ