1. 研究概要
1.1 研究背景
古くは1950年代中頃に機内に持ち込まれたFMラジオが航空機の航法システムの一つであるVOR(超短波全方向式無線標識)に影響を与えることが判明した。以来、米国を中心に一般電子機器が航空機システムに与える影響についての研究が行われている。これらの研究の結果では、一般電子機器からの干渉の可能性は低いとしているものの何らかの規制は必要だとしている。
また、これら電子機器は次々と新製品が開発され、近年ではパーソナルコンピュータ、CDプレーヤ、ゲーム機器等が影響を与えた可能性も報告されているが、その因果関係についてはまだ解明されていない。
したがって、一般電子機器が発生するEMI(Electromagnetic Interference:電磁波干渉という。機器から放射される電磁波が他の機器やシステム等に影響を与えること。)のデータ及びこれらが機上航法装置等に及ぼす影響について早急に調査し評価方法を策定する必要がある。
なお、一般電子機器からの干渉を調査するためには、一般電子機器が発生するEMI、影響を受ける機器やシステムに到達するまでの経路損失(電磁波が到達するまでの減衰率)、さらに、影響を受ける機器やシステム自身の感受レベル(影響を受ける電磁波の強さ及び周波数)の調査が必要であり、昨年度は一般電子機器が発生するEMIのデータ測定を実施した。今年度は経路損失を中心に測定を実施した。
1.2 研究目的
本計画では、実際の機体を使用して、客室内から発せられた電波が各種機体アンテナで受信され、高周波ケーブルを介して受信機端に到達するまでの経路損失を測定する。測定結果及び昨年度の測定結果その他も併せて、EMI技術基準の考察を行う。
また昨年度に引き続き機体外部からの電磁波による影響に関する調査も行う。
1.3 研究内容
以下の項目について調査研究を行う。
(1) 実機を使用した電磁波経路損失の測定
(2) 代表的携帯用電子機器が航空機システムに与える影響の実機検証
以下の機器について検証を行う。
携帯電話
パーソナルコンピュータ