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はじめからは少々無理であっても、制度につなげた後、最大限彼らのニーズに応えていった結果、ということになれば、それによって制度を変革していく手だてにもしようというねらいなのです。

2組のカップルは、ご飯は自分たちで炊き、夕方になると、世話人さんのところへ副食(おかず)だけ取りに来ます。そして、整理整頓などの手伝いが必要な時には支援しています。結婚カップルにとっては、ほどよい距離感とほどよい支援が得られて非常によいのではないでしょうか。このような支援がなければ、彼らにとって結婚はきっと「夢」でしかなかっただろうと思います。

世話人さんは、新しい住人で一人暮しが大好きな村上さんと自閉的傾向の強い2人の世話に工夫を重ねています。時には悲鳴をあげることもありますが、時には感動することもあるそうです。

 

3. 「グランドムール」に住む人たち

 

この住居を借りる時は、分譲マンションということで、大変苦労したのを覚えています。9階建ての分譲マンションは、ほとんどの人が終<つい>の住処<すみか>として購入するという事情から、住人達に安心感をもってもらうため、建設会社が興信所を通じて入居者を調査しました。グループホームとして借りることになった住居は、5階の4DKで、ちょうどよい間取りでした。この部屋の持ち主は、簡単にOKを出してくれましたが、不動産会社と持ち主の間に入っている建設会社が「知的障害」のある人が住むということに難色を示しました。そんなことから、まわりの住人に住む予定の人たちに会ってもらったり、国の制度であることを説明したりして、やっとの思いで借りることができたのです。メンバーは、ここで、すでに5年という歳月を住み続けており、隣のおばあちゃんとも良い関係を築いています。

5年も住むと生活リズムがすっかり安定して、少し工夫してもいいな、と思いはじめました。昨年4月、早速不動産屋さんと交渉した結果、9階の3LDKを貸してくださるという返事。世話人さんに話して、拠点をそこに移してもらうことにしました。台所は4DKに比較するとかなり広いので、思いきり食卓を大きくし、カウンターも大きく、使いやすい設備にしました。

ここには、若い青年が2人と30代の女性が1人住むことになりました。5階の4人のうち1人は、一人暮しを希望して少し離れたlDKに引っ越しました。食事の支援は必要であったので、その人の近くにある別のグループホームの世話人が引き受けることになりました。5階の3人は、自分の家に食事を持ち帰ることもありますが、休日以外は、ここで賑やかに食事をすることを望むそうです。

 

4. 県営住宅613号室・622号室の2カップル

 

平成5(1993)年、新築の県営住宅613号室3DKと622号室3DKに住むカップル2組で、グループホームの認可を得ました。

622号室林夫妻は、自立することが希望で、ここ何年か、金銭、食事づくりを自分達でこなすことに挑戦しましたが、中だるみになり初めからやり直すことを繰り返してきました。「世話人なし」が理想のカップルなのに、なかなか理想どおりにはいかないようです。

この県営住宅グループホームの世話人さんは、3年前から、棟違いの115号室3DK北島夫妻の世話もしています。北島夫妻はグループホームのメンバーではありませんが、お金の管理は無理なので林夫妻と同じ支援内容で世話をしてもらいます。

ところで、今日は通勤寮職員総勢8人てんやわんやの1日でした。私もどっと疲れがでた気がします。というのは、622号室の林夫妻のなぎさちゃん(生後2ケ月)を母親の勤めている日中だけ通勤寮に預かることになったからです。共稼ぎしないと生活できないのは私たちも同じです。もともと乳児保育で預かってもらおうと相談していたのですが、新年度までは空きがないとのことで、こういう結果になったのです。

 

 

 

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