5/24(土)地域伝統芸能公演 松江市くにびきメッセ大ホール
佐陀神能
島根県八東郡鹿島町 出演/佐陀神能保存会
国指定重要無形民俗文化財
京の猿楽能の様式を取り入れ、出雲一帯の諸神楽に影響を与えた佐田神能は、養老年間以来の古儀・佐田神社の御座替神事で舞われる。今回の演目は出雲神話を題材にした「八重通」。須佐之命、稲田姫、八岐の大蛇が登場し、洗練と格調の舞を披露した。
舞台はあたかも神社の社にふさわしく、緑の木立に包まれた中で白い衣装の地謡連の朗々とした歌が始まり、それ自体が伝統工芸品ともいえる豪華な錦糸の神楽衣装の舞姿に観客は完全に魅了された。
赤崎神社楽踊
山田県長門市 出演/赤崎神社楽踊り保存会
山田県指定無形民俗文化財
慶長元年、 一帯に牛馬の病気が流行った時に、それを鎮めるために踊ったのが始まりとされる。頭に5色の大花笠、腰には紙を貼った竹の輪を華やかにつけて、五穀豊穣、虫送り、雨請いの祈りも込めてパワフルに踊り、秋祭りの楽しい雰囲気を再現した。
大杉ざんざこ踊
兵庫県養父郡大屋町 出演/大杉ざんざこ踊保存会
国指定重要無形民俗文化財
「ザカ ザンザカ ザンザカ ザットー」と、太鼓の音を思わせる口拍子。二メートルもの扇子を背にしたカラフルで賑やかな踊りは別名鬼踊りとも呼ばれる。約四百年前にこの地方に疫病が蔓延した時に、修行僧が奈良で習って氏神に奉納したといういわれがあり、その願いを込めて保存会の方々は松江会場の広い舞台せましと勇壮な踊りを見せてくれた。
琉球舞踊
沖縄県那覇市 出演/琉球民俗舞踊団
独特の振りとリズム感が沖縄の芸能性の高さを実感させる。長寿延命や、五穀豊穣を寿ぐ踊り、女の情念を強調した踊り、空手を取り入れ昇華させた踊り、島の生活を表した踊りなどバラエティー豊かで息もつかせない。「かなーよ天川」「エイサー太鼓」ほか素晴らしい舞踊で場内を圧倒した。
伊那谷の屋台獅子
長野県飯田市 出演/上茶屋獅子保存会
奈良時代に大陸から仏教行事の一つとして獅子舞が我が国に紹介された。その異様な姿と獅子の持っている霊力は、たちまち日本各地に広まり、それぞれの土地の風土と歴史の中でさまざまな姿となって今に伝えられている。中部山岳の深い谷あいに伝えられる伊那谷の屋台獅子も、この土地ならではの顔をもっている。舞台が始まると先導のサルが会場を整理するように現れる。先達の中天王が供を引き連れて獅子を舞台に導くと、会場から一斉に歓声が湧き起こった。長さ十二メートル、屋台にホロを被せた獅子の登場である。屋台の中には大鼓、笛の囃し方や獅子の使い手など二十名が入っている。大陸の衣装を思わせる中天王が獅子を操るように舞台を駆け巡り、それに合わせて囃し方が楽を奏すると、見事に息の合った演技が披露された。舞いが終わって下手に下がる間も会場からは惜しみない拍手が鳴り止まなかった。
●白間津おどり(千葉県)は、当会場のほか、出雲 大社会場でも上演されました(六頁に掲載)。