2. 5ベネズエラの港湾管理運営
1) 港湾の管理運営制度
1-1 概要
ベネズエラの港湾の管理運営制度の沿革は以下のとおり。
1975年まで
厚生省、大蔵省(税関)などいろいろな省がそれぞれ運営していた。
1975年 INP法が成立
Instituto Nacional de Puertos(INP) とConcejo Nacional de Puertos(CNP)が設立。
これにより、INPは全国の公共港湾(9港)の港湾の計画、建設、管理、運営を全て担当することとなった。
しかし、実態は、当初からINPは運営のみを実施し、政治的な組織になった。
INPの設立目的は、雇用の機会を増やし、失業者を減らすことであったので、雇用者が増大し、港湾収入は、職員の給与とわずかのメンテナンスでおわり、建設予算は国の補助金で実施していた。1991年のINP職員は労働者12,000人、職員4,000人と必要人数の5倍にふくれていた。INPの総裁は大統領が任命、INPの理事は総裁が任命する。
1991年 「中央集権廃止の法律(Ley Organica de Decentralizacion Delimitacion y Transferencier de Competencier del Poder Publico) 」
「INPを廃止する法律(Ley de Supresion de lnstituto Nacional de Puerto)」が成立。
これにより9つの公共港湾は、他の公共サービス(教育、健康、道路、空港など)と同じように地方分権(州への管理運営権の譲渡)することとなった。
また、港のある州からは、港湾の管理を引き継ぐ条件としてINPの労働者は引き受けないと言ってきた。この結果、INPの職員の大半は民間会社が雇用することとなった。そして、9公共港湾の管理組織の職員数は1,200人となった(1991年のINP職員4,000人の30%)。
現 在
今の運輸通信省港湾局はINPを廃止して設立した。
海岸線から内陸200mまで国有地、また水面も全て国有であり、港湾の土地、インフラは全て国の財産である。
また、港湾政策、港湾計画、コンセッションの権利を与える権限は国のものであり、各州は港湾のインフラ以外(倉庫、管理ビル、クレーン等)の財産の所有と港湾を運営する権利を持った。
ただし、国・州は港湾を直接経営してはいけないという法律があり、州が港