4-3 民営化の評価
アルゼンチンにおいては、港湾の投資不足、AGP職員による港湾サービスの非効率と質の低下を要因として、急激な規制緩和、地方分権化、民営化の3施策が同時期に実施された。
ただし、港湾の財産は民間に売却されることなく、国から州・市へ委譲され、権限・機能は国から州・市及び管理組合(州法で設立された港湾の管理・運営法人)に委譲された。そして民間企業にはBOT方式により、港湾の開発権限を与えたものである。
このような民営化における長所、短所をまとめると次のとおりである。
?@ 長 所
・ 採算性の意識が生じ、荷役効率が高まり、コストの低減、サービスの質の向上が図られた。
・ 人員が大幅に減り、労働者1人当りの生産性が向上した。
・ 荷役施設に限らず、港湾内の企業立地等、投資が活性化された。
?A 短 所
・ 雇用者のリストラが必要、特に再雇用先の確保が困難。
・ アルゼンチンの理事会は地場企業が中心となって構成されており、計画・投資が地元利益、短期利益のみに偏りがちである。
・ 浚渫費用、防波堤建設などは、当該港湾の収入だけでは手当できず、別途の資金手当が必要。
・ 民間事業者が興味を示さない開発の資金手当。
・ 州の財政に大きな負担をかけている。
また、注意事項としては、
・ コンセッション企業が倒産すると影響が大きいので、十分な事前審査が必要。
・ 港湾管理者と民間企業との役割分担をコンセッション契約の中で明確に規定することが必要。
・ 港湾と接続する道路、鉄道との計画調整が重要。