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このため、同種の管理・運営を行っている港湾で生じている問題(作業の非効率、雇用者の増大、作業時間管理の不透明化、コスト増大、荷役時間の制限、政治の介入など)が同様に生じた。

この結果、港湾料金の高騰、荷役サービスの低下など、港湾の競争力は失われ、ブラジル国家経済に多くの損失が生じた。

従ってCODESPから荷役部門を民間企業に引き渡す民営化計画は必要と判断されるが、CODESP自体には港湾計画の立案能力が失われており、このままではUnsolicited BOTで虫喰い状態の開発となるものと予想される。

 

4) 港湾民営化の評価

ブラジル国における港湾制度の改革は緒に付いたばかりであり、未だ過渡期にある。

改革の主目的は、

 

?@ 港湾労働者に支配され、高料金、低品質となっていた港湾サービスを改善すること

?A 国策の埠頭公社が政治的・官僚的になり過ぎて、非効率となっており、その構造を改善すること

 

このため、国の関与を少なくし、地方分権を進めるとともに、港湾サービスの権限を労働組合から取り上げて第三者機関に移すとともに、民間会社を積極的に導入し、港湾活動を活性化させようとするものである。

そして具体的方策として、

?@ 国から州、市へ港湾管理権限の委任(財産権は固有)

?A 各港に港湾の決定機関である港湾審議会の設立

?B 各港に港湾労働者の管理監督機関であるOGMOの設立

?C 各埠頭、倉庫等を民間会社にリースして運営させる

 

その成果は未だ明確に現われていないが、問題としては、

?@ 港湾の開発計画を策定していないこと、このため、民間企業の提案ベースで開発が進められようとしており、秩序のない、虫喰い状態の開発なるおそれがあること。

?A 今後の投資計画(民間企業へのリース対象以外)は連邦、州、市のいずれかとしているが、連邦には港湾からの収入は入っておらず、今後、削減していく方向であり、一方、州、市では投資しても自らの財産にならず、連邦の財産となることから(港湾収入が州、市へどの程度入るかは不明)現時点では明確な分担の基準もなく、早急に基準を作成することが必要と考える。

 

 

 

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