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場合もあるが、ここでは、区別しない。石炭については、これらの水をそれぞれ固有水分及び付着水分と呼ぶ。粒子の間隙に含まれる水の量は、篩い分けにより粒径分布が変われば大きく変化すると考えられるが、粒子の中に含まれる水の量は、粒径分布には殆ど依存しないと考えられる。過去の研究により、乾いた状態のニッケル鉱に水を加えていくと、水分値が一定以上になったところで急激に粘着力が大きくなることが示されている。ニッケル鉱の大きな粘着力は、主として粒子間の水(のうち吸着水)による吸引力によると考えられるため、こうした吸引力が作用する前の状態では、水分の多くは粒子に含まれていると考えることができる。即ち、ニッケル鉱の粘着力が急激に大きくなる水分値とは、水分が粒子の中だけには入りきれない程の水分値であるとも考えられる。本研究では、試料が乾いた状態については論じておらず、過大な水分値に起因する粘着力の低下による荷崩れの危険性について検討している。そのため裏漉し水分値試験も、試料が一定程度の粘着力を有し、大きな塊を構成できるような水分値の範囲で実施した。こうした水分値の範囲では、仮想篩上試料の水分値は、粒子の中に含まれる水の量は最大値に近いと考えられ、試料の水分値が一定以上であれば、篩下試料の水分値によらないと考えるのが妥当である。

以上をまとめると、裏漉し水分値試験により、「水分値の換算のためには、大きな粒子については、その内部に含むことのできる最大の水分値を調べ、この値を用いることが妥当である」ことが分かった。

4.6.6.裏漉し水分値試験の問題点

図4.6.1に示した通り、裏漉し水分値試験で求めた仮想篩上試料の水分値はばらつきが大きい。理由としては、試験に用いた試料の量や、裏漉し水分値試験において篩上に残る所定の粒径以下の試料の粒径分布の問題等が考えられる。裏漉し水分値試験では、篩上にも所定の粒径以下の試料が残る。篩下試料と篩上に残った所定粒径以下の試料の粒径分布が同じであれば問題は無いが、篩上に残る試料の粒径分布を制御することは困難であるため、篩下試料が必ずしも元の試料に含まれる所定の粒径以下の試料を代表するのに適当でないといったことが考えられる。そのため、裏漉し水分値試験により求めた仮想篩上試料の水分値を水分値の換算の際に用いることには問題がある。

さらに、表4.6.5に示した通過重量百分率を求める際の試料の量は、乾燥状態で、100-19mm裏漉し水分値試験では約12kg、19-6.7mm裏漉し水分値試験では約8〜9kgであり、精度に問題がある。

以上二つの問題点を考慮して、水分値の換算方法を得るため、以下に述べる実験を実施した。

4.6.7.通過重量百分率試験

通過重量百分率を求めるため、別途篩い分けによる試料重量の計測を行った。篩い分けは、試料がある程度乾燥した状態で行い、篩上試料及び篩下試料の重量を計測するとともに、それぞれの水分値を計測して、乾燥状態における重量に換算した。なお、篩い分けの際には、篩上には細かな粒子の塊が残らないよう、一粒づつ確認した。試験結果

 

 

 

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