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が平素から近隣とうまくつき合っていることもあって、概ね無難に処理されている。

しかし、障害児里親を広めて行くためには、施設の一時預かり、一時保護所の緊急受入れ等、確たるルールを作ることが不可欠である。

3. 障害児であれば当然不安や心配が多いが、それは当然と受けとられている。

4. 低年齢で受け入れたこと、家庭から直接受け入れたこと等のため、受け入れの前と後との里子の変化については確たる材料はない。ただ、日常生活をする能力(自立性、個別的、可変的状況への対応)及び社会適応性の進歩は大きい。

5. 障害児であるために要する交通費、医療関連費、補助具等は相当多額である。

現行では、実子であっても特別児童扶養手当が支給されているのであるから、里子の場合には、それが支給されない軽度の障害や所得制限に該当するケースについても、相当額の手当を支給すべきである。

6. 実親は死亡・行方不明が多く、生存しているケースでも将来の引き取りは期待できないようである。ただ横堀ホームでは実親への復帰を前提としており、その可能性が十分期待できる。

障害児の里親委託解除後のアフターケアについて、生活寮との連携のルール作りが必要である。

7. 養育中難問が出て来た時はもちろん、常時不安があるのであるから、適切な養育のうえからも里親に安心感を与えるうえからも、必要な時は何時でもケースワーカーの助言指導が受けられるよう、児童相談所の体制の強化が極めて重要である。

8. 養育技術向上のため、研修の必要性を強く訴えている。その内容は、自分と同じような障害児養育の経験を参考にしたいという気持ちが強い。

9. 障害児の状況によっては、心身障害児通園事業等の利用も必要となるので、いわゆる二重措置を容認すべきである。

10. 複数里子については、現実に実践している例があり、とくに横堀ホーム(児童だけでなく、成人精神薄弱者も受け入れて、徹底した生活指導によって、社会適応能力を高めることを意図したファミリー・グループホーム)では、10名程度の障害児や問題児を受け入れており、その効果は顕著である。また、単数の障害児を現在養育している里親にも、条件が整えば、複数里子養育に肯定的意見もある。

養育効果の面からも、一定の規模・基準を設けて、複数里子の養育(ファミリー・グループホーム)を促進することを早急に検討する必要があると思われるが、当面、特例的に横堀ホームのようなファミリー・グループホームを公で認知して、運営費の助成を考えることは有効な方策と思われる。(適格性については当面知事の個別認定とすることも考えられよう。)

なお、複数の里子を養育する場合には、障害児だけでなく健常児も一緒の方が、やり易く、かつ、効果があるという意見が強い。

11. 近隣、地域社会、学校との関係では、どのケースも里親が積極的に働いているので、うまく行っている。そしてこのことが多くの面で良い結果をもたらしているように見える。

12. 障害児里親を広めて行くための方策としては、今まで触れた経済的援助、児童相談所の支援体制の強化等のほか、実例のPRが有効である。

 

 

 

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