現症,両頬の蝶形紅斑,両手背,両下肢の網状紅斑を伴った浮腫状の腫脹(紅っぽい浮腫=炎症状浮腫に見えた),頸部痛あり,両側頸部(頸部に近い)の小豆大リンパ節腫大4個,食欲不振,全身網目状発疹,掻痒感強い,検尿のみ施行
pH 6.0,蛋白(-),糖(-),ウロビリノーゲン(正)
4月3日 CRP(-),RA(-),WBC3,700 その他,血算,肝機能,異常なし
4月4日 37.4℃,発熱が続く,食欲不振
4月5日 37.4℃,食欲不振
4月8日 リンパ節の硬度が増し腫大,頸部リンパ節腫大2個増加,朝の強張りあり
4月9日 血液専門医受診,この時点でリンパ節縮小傾向あり,経過観察,HPV抗体IgM,IgGとも陽性。
採血検査は成人8人,小児1人に施行した。総蛋白, 蛋白分画,総ビリルビン,GOT,GPT,ALP,γ-GTP,ZTT,LDH,TC,TG,ESR,CRP,RBC,Hb,WBC,PLT,白血球分画の一般検査項目である。
HPV抗体は成人3人に施行した。
検尿は成人8人,小児2人に施行した。
結果
5家族20人が,HPV家族内感染と思われた(他に4家族8人の伝聞例を含めば9家族28人となる)。
5家族20人の内訳は,成人13人(1人[症例12]は伝聞例,2人は非典型例である。[症例 17]は気管支喘息で他医通院中に喘息発作を起こした患者,[症例3]はRAで寝たきり状態の患者で胸痛,呼吸器症状を起こした。
検査での異常値は,Hb軽度低下,CRP陽性,LDH上昇,α2グロブリン軽度上昇,異型リンパ球増加が1人〜数名あったが,いずれも経過中,改善した。
尚,[症例4]の男性では尿所見陽性,尿中NAGは上昇した。痛風のある内服薬中断中の男性であったが,採血時の尿酸値正常で,経過とともに尿NAG,尿所見が改善したためHPVが何らかの影響をしたものと推測し興味深い症例であった(今回以前の健康診断では,尿所見陰性)。
HPV感染症の検査は,健保が使えず高額の費用を要するため確診は13人中3人にしかできなかった。
HPV検査をした3例はIgM抗体,IgG抗体とも陽性であった。HPV感染と診断したのは家族にEI小児が出ていることを目安にした。
尚,この期間以外は数人を除き当診療所を受診していない健康家族であった。
成人13人は34才から104才までで,男4人,女8人であった。発疹9人,顔面の蝶形発疹は5人で全例,四肢腫脹(炎症性浮腫)を伴っていた。