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2. 会議の成果および今後の方向

本会議の成果は多面にわたり、また、長期的な影響をもたらすものと考えられるが、当面の成果に限っても大きく次の3点に整理することができると考えられる。

 

1)世界のリハビリテーション医学の最新の達成に学ぶ

1,000題に近い多数の演題、特に総会講演、教育講演、シンポジウム等の企画招待演題を通じて、世界のリハビリテーションの最新・最先端の成果を学ぶことができた。これは必ずしも欧米の先進諸国だけではなく、アジア・アフリカ等の途上国においても、ユニークな「地域社会に根ざしたリハビリテーション(CBR)」の活動など、わが国の今後のリハビリテーションのあり方を考える上で多くの示唆を与える多数の成果を学ぶことができた。特に報告内容から学ぶところが多かっただけでなく、優れた多数の研究者と親しく接し、討論を交わすことができたことが大きな刺激を与え、また、今後の国際交流、共同研究などの手がかりを与えたという意味でも大きな意味をもった。

 

2)日本のリハビリテーション医学の現状を世界に知らせる

日本に最新のリハビリテーション医学が導入されてから30数年になるが、当初は非常に大きかった欧米とわが国との差はこの間に著しく縮小し、日本は今や世界のリハビリテーション医学先進国の一つに数えられるようになった。しかし、言語的障壁のためもあって、従来日本の研究業績が広く世界に知られ、正しく評価されるという状況には必ずしもなかった。今回の会議では、日本から多数の講演、シンポジウム等の参加者、一般演題、また展示等を通じて、わが国のリハビリテーション医学の研究と臨床の現状を広く世界に知らしめることができた。これは今後の国際交流、共同研究の推進などの上で大きな意味をもつものと考えられる。

 

3)アジアをはじめとする途上国への国際貢献

今回は、アジア・アフリカ・中南米・東欧諸国のように途上国あるいは一時的に経済的困難に陥っている国々からの参加を促進するために、参加者に対する財政援助を行うことを計画し、幸いに日本財団の補助を受けて24カ国からの多数の参加者に種々の程度の財政援助を行うことができた。これによりこれら諸国からの研究発表が促進されると共に、今後のこれら諸国におけるリハビリテーション医学の発展に貢献することができ、また、わが国の国際的評価を高めることができたと考えられる。

 

以上から、今回の会議は種々の側面で、国内外で大きな成果を挙げ得たと共に、今後の日本のリハビリテーション医学の国際化に大きく貢献するものと考えられる。

 

 

 

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