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第5章 路線バスの高度情報化に向けた検討

 

5-1 路線バスの高度情報化に向けた今後の取り組み

 

 

5-1-1路線バスの高度情報化の背景

 

路線バスの高度情報化の背景、特に、都市部における路線バス輸送の運行管理に関連しては、現在、以下の4つの流れがある。

 

?@我が国において、情報技術への交通分野への応用の高まりの機運

これは、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)への関心の高まりに伴って、ITSに関連する各種研究が進められるようになり、同時に、行政サイドの関心も高まっていることを意味する。運輸省では「道路運送事業におけるITS技術の活用方策に関する調査研究」(委員長:川嶋弘尚慶應義塾大学教授)を平成8年度より行っている。

?A公共交通への期待の高まり

都市交通政策の中では、これまでの交通施設供給だけに特化する政策から需要の調整に着目するTDM(Transportation Demand Management:交通需要マネジメント)への期待が高まっている。既存の道路空間の有効活用という視点では、交通管理者が中心となって行ったPTPS(Public Transport Priority System)実証実験にみられるように、バスの運行管理への関心が高まっている。さらに、1997年12月のCOP3京都会議にみられるように、環境問題においても、道路交通からの貢献が求められ、自家用車交通削減のための公共交通利用促進という視点からも、バスヘの期待は高いと言える。

?B既存のバス関連の通信情報システムの課題

都市部のいくつかの事業では、各事業者独自のバス運行管理システム(バス事業者毎に仕様が完全独立)を有している。システムが各事業者独自であることが、複数事業者が共有するターミナルでの情報提供を高度化できない、受注生産のためコストがかかり導入が進まない、等のデメリットをもたらしている。後者については、コストが下がれば普及速度を高めることもできる可能性がある。いずれにせよ、このような課題への対応が求められている。

?Cバス運行管理、情報提供に関する国際標準化の動き

道路交通情報通信技術に関する国際標準化の検討の流れの中で、国際標準化機構のISO/TC204(International Standardization Organization)(Technical

 

 

 

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