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る。逆に「進んで努力する」(スコア-0.22)や「叱り方に注意しないといけない」(スコア4.47)は否定的な評価であり、企業人の目から見ると、若年者は言うことだけは聞くが、自分から進んで努力しない指示待ち族にみえるようだ。しかも下手に怒れば悪影響を与えるので要注意というわけだ。

従業員規模別に把握してみると、ほぼ似た結果が出ている。しかし、大企業ほど評価は高くなる傾向がある。前掲の7項目のうち、(16)の「叱り方に注意しないといけない」は4規模類型ともほぼ似た数値になったが、その他の6項目では規模の大きいほど評価もおしなべて高いという結果になった。全部の項目について表を掲げるのは煩雑なので、(1)「自分から進んで努力する」のみとする。

図表3-16に示したスコアをみると、1000人以上規模の大企業だけでプラス評価であり、他の3類計はいずれもマイナス評価である。最低点はこの場合は300〜999人規模になっているが、規模の小さいほどスコアも低いことが多い。大企業は相対的に高い評価を受ける人材を揃えていることがわかるのである。

とはいえ、1000人以上の大企業でも異なっているのは「まあそうだ」の比率が高く、「少し違う」の比率が低いことだけであり、回答内容が大きく異なるわけではない。プラスのスコアといっても最高最低で20点の開きのある評価について、2.60点上回っているだけである。「自分から進んで努力する」ことにおいて、1000人以上の企業の若年者が特別高い評価を受けているわけではないのである。

 

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次に、第2の職業能力についての評価である。ここに属する4項目(上述)のスコアは、職業人としての確立や組織人としての柔軟性に比べて評価が悪い。4項目中2項目がマイナスである。プラスのものも1点未満である。4項目平均のスコアは-0.21である。若者の特徴としてしばしば上げられる発想の柔軟性や情報への鋭敏さがいずれも、スコアほぼ0点である(それぞれ-0.26、0.21)。いつも低く評価されている社会的マナーは0.93であるが、それよりこの2項目は1点程度高いだけである。「仕事に必要な能力が十分だ」についてもスコア0.13だが、若年者は訓練中の存在であることを考えればこの点は不思議ではない。ここでも、若年者への企業の評価は賛否相半ばとなった(図表3-17)。

 

 

 

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