子学生では「好きなことがやりたい」と「単位認定されれば」がより多く、女子学生では「実情を知る」と「職業生活設計に役立つ」がより多い。女子学生がより積極的にインターンシップへ参加したいと考えている。これは女子学生の方が就職活動においてより困難な状況にあることの反映といえるだろう。ただし、「就職活動に有利」では男女差は無い。なお、大学生については年齢別の集計を行った。就職をより現実的な問題と考えている上級学年の方がインターンシップに積極的ではないかと予想していたが、年齢差は見られなかった。
結 語
アルバイト求人誌読者を対象としたアンケート調査の結果を検討してきた。若者の職業キャリアに関する意識を明らかにしようと、学生アルバイターとフリーアルバイターというグループ分けを中心に考察してきた。学生アルバイター集団は、将来会社などへ就職して仕事をするというキャリアを目指す者が多数であり、一部には独立志向がみられた。フリーアルバイター集団には「正社員」を希望していてやむなくアルバイトをしているという者もいるが、積極的に定職を拒否して仕事以外にやりたいことを目指す層がいることが明らかになった。両グループに共通しているのは、フリーな立場で仕事をしたいという考えである。
学生アルバイターのややモラトリアム的な考え方は、決して今日だけの傾向ではないだろうが、家族や友人関係における良好な関係をも含めて、総じて明るく元気な若者の姿を感じさせる結果であった。一方、フリーアルバイターもただ単に職業生活への意志決定を避けているということではなく、豊かな社会の若者として自分のやりたい仕事を見つけようとしており、情熱を持てることを優先して職業生活を考えようとする傾向がうかがえる。こうした若者の職業意識に、現代の企業社会がいかなる選択肢を用意できるかが問われることになるだろう。「総サラリーマン化社会の行きづまり」といわれる今日、経済状態の不安定さ・少子高齢化・日本的経営の崩壊が喧伝されているが、新たな就業と生活価値を持った若者がいかなるライフスタイルを形成してゆくか、さらなる実態把握が試みられる必要があるだろう。
(田中 勉)