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きたという確信があります。

初めのうちは時々失敗して、それでもどこかにおばあさんがいて、にっこり微笑んで許してくださっている、という甘えがありました。しかし、最後には全ての過程を成し遂げた私を力強く見守って下さっていたような気がします。有難うございました。

 

解剖実習を終えて

 

松尾 健

 

解剖実習室に一歩足を踏み入れた時、私が初めてみたものは、整然と並べられた御遺体の入ったビニール袋だった。あの時の実習室の静けさは今でも忘れることが出来ない。私も含め、ほとんどの人たちが人の死体というものに初めて出会ったことだろう。忘れることの出来ないあの光景、その時から私の約三ヶ月の解剖実習が始まった。

最初は、慣れていないせいか、ホルマリンの匂いが家に帰っても鼻に残っており、食事がのどを通らない日が続いた。二週間もするとその匂いにも慣れ、なんとか実習をすすめることができるようになった。しかし、そのようになったとしても、自分が思った通りに解剖ができるわけではない。初めの私は、神経を剖出するにしても、ただ闇雲に結合組織をはぎとり、神経を切ってしまい、結局、別の班の友人からそれを見せてもらうはめになった。その時、先生から「剖出するには、それがある所を見つけて剖出しないといけな

 

 

 

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