い、見せて。」と話しかけて過ごした日。一方通行ながら「大好きなおじいちゃん」に毎日会ってすることは、気持ちとはうらはらに「おじいちゃん」を切り開き、壊すことでした。学びなさいと預けて下さった以上、開かなければ見ることはかなわず、御意志に背くことになる。自分に言いきかせながら進めても、切り崩すたびに心が痛みました。それなのに、人体という複雑な世界との出会いに夢中になって「おじいちゃん」の一部だということを忘れてしまう瞬間がありました。人の心とはなんと危ういものなのでしょうか。我に帰った時のあの苦さは、将来患者さんと接する時強い戒めとなるでしょう。
学び得たことは多く深く、生涯の宝となりました。そして、生命の尊厳を目の前に捉えて、受けとめきれない自分の弱さを知り、責任の重さと生命の尊さを胸に刻みこむことを繰り返した日々でした。
文字通り我身を投げうって私を導いて下さった「おじいちゃん」に深く感謝します。また、将来献体を、と私も考えていますが、家族の同意を得ることがまだかないません。ご遺族の方々の御理解と御厚意に敬意をこめて御礼申しあげます。
解剖実習感想
近藤 稔人
初めて解剖実習室に入ったのは一年の時でした。初めて見る医学部の実習から受けた印