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解剖学実習を終えて

 

岡崎 怜子

 

一月に始まった解剖学実習も、七月二日、厳かな雰囲気の中で、無事終了することができました。

毎回、実習は約五時間、通して行われましたが、集中すると時間はあっというまに過ぎ、実習が終わる時間には心地よい疲労感と充実感を味わえたものでした。実習の日数が多く、予習や他の科目の勉強も忙しく、寝不足の毎日が続いたときもありましたが、今振りかえってみると、それらの忙しさの中でその時その時にするべきことを一つ一つ、 一生懸命こなしていくこと自体が充実感をつくりあげるのではないかと思います。

解剖学実習とは、私にとって医師になるための初めての大きな関門のように思えました。そういう意味で、初めての御遺体との御対面の日を、私は特別な日として迎えました。その前日の夜、私は「がんばらなければ。」という、気負いこんだ気持ちと、何か漠然とした不安が交互に頭をよぎり、なかなか眠ることができませんでした。

解剖学実習室に初めて足を踏み入れたとき、私は二〇体以上の、ビニールに包まれた御遺体が、それぞれの台の上に横たわっていらっしゃるのを見ました。そしてその時、私は改めて自分たちがこれからいよいよ解剖学実習を行うんだということを実感しました。

 

 

 

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