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爽風会会員となって

片岡愛子

昭和18年から58年迄、高知日赤病院で看護婦として、また助産婦として勤務し、その間幾度か、死亡退院も死後の処置をして見送りました。また、助産婦としては、可愛いい新しい生命誕生に立ち会いましたが、赤ちゃんは、教科書に書いてある通りに狭い産道をスルスルと出て、第一声、呱々の声を上げます。教科書を丸暗記し産科学を学び助産婦となり、感激の連続であった新米助産婦の頃が40年も昔となりました。

献体をしたい…とはかなり以前から考えていました。機会ある度に友人の幾人かをさそってみましたが、ほとんどの者は、嫌だとか家族の同意を得るのが難しいだとか言い、或る友人は献体することに決めていたが、お嫁さんに「お母さん、そんなみっともないこと止めて下さい!」と反対されて中止したと聞きました。

江戸の昔ですと解剖学の教材は、いわゆる死罪になった罪人であった、と聞いた事がありますが、世間体を気にして、どうして姑の献体を嫌がるのでしょう?骨も筋肉も内臓も関節も全てが医学を志す学生の必須科目の勉強に役立ちますものを…。何で、火葬場で重油をかけて僅か10分で灰にするのでしょうか、勿体ないことです。若い医学生の教材として役立つことこそ、望外の喜びです。

私の望む所は、日進月歩の医療の最前線で、より素敵な医療を行う医師となって頑張ってほしいのです。

学生の皆さんに、大きい大きいエールを送ります。

 

 

 

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