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は じ め に

 

この小冊子は、行政・病院・施設などで、献体に関する相談や、なくなられた方の解剖に関する業務を担当される方々のために書かれたものです。

近年「献体」についての関心が高まり、問い合わせが多くなってまいりました。それに応じていただく担当の方々に「献体」をよく理解していただき、手続きなどを知っていただくことが、この小冊子を著した主旨でございます。

医・歯学系の大学では、人体解剖学実習が必須科目となっております。その教材となる解剖体、即ちご遺体は、生前から「自分の死後、医学又は歯学の教育・研究のために遺体を提供する」という「献体」によるものが理想であります。現在では「献体」によるものが過半数を占めておりますが、100パーセン卜にはなっておりません。

「献体」は無条件・無報酬で自らの遺体を捧げる篤志行為であり、その行為は医・歯学系学生の解剖学の教育のみならず、医の倫理教育の面で大きな効果をあげております。献体された方々を解剖させていただくことにより、その献体者の希いを知り、豊かな人間性と高い倫理観を具えた良医になることを学生たちは自覚し、誓うようになります。解剖学実習を終えた学生は人間的に一回り大きくなると言われますが、それは献体者の無言の教えにほかなりません。

献体に関する質問をお受けになる立場の方々がこの小冊子をご活用下さり、少しでもお仕事のお役に立てば幸せでございます。

 

平成9年9月

財団法人

日本篤志献体協会理事長

内野滋雅

 

 

 

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