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●献体とは、医学・歯学の大学における人体解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することをいいます。

「自分の死後、遺体を医学・歯学の教育と研究のために役立てたい」とこころざした人が、生前から献体したい大学またはこれに関連した団体に名前を登録しておき(7ページ以後参照)、亡くなられた時、遺族あるいは関係者がその遺志にしたがって遺体を大学に提供することによって、はじめて献体が実行されることになります。

 

解剖にもいろいろありますが

●解剖には、大きくわけて次のような種類があります。

?人体の構造をしらべるための解剖

(正常解剖)

?死後、すぐ病変をしらべるための解剖

(病理解剖)

?変死体の死因をしらべるための解剖

(法医解剖または司法・行政解剖)

●献体に直接関係があるのは上記?の正常解剖で、医学・歯学教育の基礎といわれております。医学教育の最初にまず履修する「人体解剖学実習」がこれに当ります。亡くなった直後に病院で行う病理解剖とは違い、正常解剖は、医学・歯学系の大学の解剖学教室で行われます。

良い医師・歯科医師を育てるためには、全身の構造を学ぶ「解剖学」の教育を充実させることが絶対に必要なことなのです。

 

献体の意義

より良い医師・歯科医師の育成のために

●今日ほど「医の倫理」が強調され、「良医」の育成が強く要望されている時はありません。将来、医師・歯科医師になろうとする学生たちが、医学・歯学の勉強をはじめるに当り、「人体解剖学実習」で、「より良い医師・歯科医師になるために、自分のからだを使って十分に勉強して下さい。」という願いをこめて献体されたご遺体によって学習をすることにより、学生たちは、人体解剖学の知識の習得と同時に、献体に対する感謝の気持と、その期待に応えなければならないという責任と自覚をもつという点で、大きな精神的教育を受けています。

献体の最大の意義は、みずからの遺体を提供することによって医学教育に参加し学識、人格ともに優れた医師を養成するための礎となり、次の世代の人達のために役立とうとすることにあります。

 

 

 

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