全国縦断セミナー「子どもがいる夫婦の離婚」
―その構成と参加者の感想―
このセミナーは、平成6年11月に東京で第1シリーズを開催してから、昨年度、日本船舶振興会(日本財団)の補助を得て全国8か所で開催したのを含めて16シリーズを重ね、参加者の総数は、649名に達しました。その主な内容は『ふぁみりお』第6号〜第14号で紹介してきました。今回は、1シリーズ3回構成の各回の内容と参加者から寄せられた感想をまとめてみました。家庭福祉や生涯学習に携わる方々にも参考になれば幸いです。
なお、本年度も引き続き日本財団の補助を得て、全国8か所で開催します。離婚に際し、子どもの問題で悩んでおられる方々の参加をお待ちしています。詳細は、当センターにお問い合せください。
第一日目 親の離婚と子どもの心
第1日目は、まだ離婚には至っていないが、離婚という選択が表面化してきている段階での問題を中心に取り上げます。
この段階での第1の問題は、離婚するしないの問題を、子どものためになる、ならないと言って夫婦間で判断が揺れ動き、それが激しい争いになったり相手を非難する口実になったりすることです。
しかし、子どもにとって悲しいのは、両親が離婚するしないより、冷静に話し合えないことなのです。
過日、このセミナーに子の立場で参加した10代の女性は、「お前のために離婚しない」という親の言葉を重荷に感じていて、「本当は、一人になる自信がなくて離婚できないのに、それを私のせいにしている」と憤慨していました。
この段階での第2の問題は、離婚のことで両親の気持が揺れ出すと、子どもに隠しているつもりでも、どこかで通じてしまうという点です。特に、全面的に親に依存して生活している幼い子どもは、親の不安定を大地が揺れる地震にたとえられるほどに不安に感じますが、それを容易に口には出せません。
ようやく親離れを始めた子どもが、急にまとわり付くようになったり、夜尿したり、少し年齢が大きいと、授業に集中できずボンヤリしていたり、不登校になったりすることがあります。
もし、子どもがこのような兆候を示し始めたら、親はできるだけ側にいる時間を増やし、年齢に応じた表現で今の状況を率直に伝える配慮が必要です。その際に、両親が別々に住むようになっても、子どもは生活に困ることはないこと、父も母も親であることには変わりはなく、子どもが望めばいつでも会うことができるという保証を与えることが大切です。その時すぐに離婚や別居の事情が正しく理解できなくても、子どもは、親が一生懸命何かを自分に伝えようとしていたことを記憶しており、後になって親への信頼を回復し、正しい理解を得るための助けになります。
しかし、この時期の親は気持が乱れ、いらいらして子どもを傷付けるような言葉を出してしまい勝ちです。そのような自分に気付いたら、親しい友人かカウンセラーに、思いのたけを聞いてもらうとよいのです。
第3の問題として、離婚するほど嫌な相手の血が子どもの中に流れているという事実を、夫婦双方が受け入れることの難しさがあります。
『ふぁみりお』6号《かあちゃんは、すぐ“あんな奴”というけれど……》は、こんな子どもの立場を伝えています。また、同誌9号《親の離婚を子どもにどう伝えるか》は、子どもに離婚を説明しなければならない親のための工夫例を紹介しています。「お父さんは、お酒に溺れて生活ができなくなってしまったけれど、もともと悪い人ではなく、結婚した頃は優しい人だったの。でも、気が弱いところがあって、あのようになってしまい、残念だけどお母さんは別れることにしたの。あなたはお父さんの優しい良いところを持っているけれど、