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1994.12.25

第6号

家庭問題情報誌

ふぁみりお

編集・発行

社団法人 家庭問題情報センター

PHONE/03-3971-3741

FPIC

 

◆平成家族考6

かあちゃんはすぐ“あんな奴”というけれど

おれのとうちゃんなんだぞ!

 

……親の離婚を子どもの側から考える……

 

1994年は国際家族年でしたが,「家族からはじまる小さなデモクラシー」をスローガンに,家庭や家族のあり方について,さまざまな問題を考える機会を与えてくれました。

今回は,その最後を飾って,子どもから見た親の離婚をテーマに取り上げます。離婚は,夫婦二人だけの問題のように思われがちですが,そこには二人の間で,悩み苦しむ子供たちがいることを忘れてはなりません。

離婚をすれば,夫婦は直ぐにでも他人になれますが,親子はいつまでも親子であり,前よりもずっと複雑な関係を乗り越えていかなければならないのです。親の離婚に遭遇した子どもたちは,「小さなデモクラシー」について,どのように問いかけているのでしようか。

 

ケース1

別れても父は父,母は母

 

春子さんは,夫がうまい話に乗せられては事業に失敗し,借金をつくるたびにパートに出て生活を支えてきました。しかし,喧嘩の絶えない生活に嫌気がさし,職場の男性に家庭の事情を相談するうちに親密な関係になってしまいました。半年程前にそれが夫に知れ,大喧嘩のはてに暴力を振るわれ,実家に逃げ帰りました。残してきた小3の息子が心配で,翌日学校へ行ったら,夫が学校に「妻とは離婚するので子どもは妻に渡さないでほしい」と言ってあり,会うことすらできなかったというのです。

夫とはもうやり直せない,子どもを引き取りたいが夫は絶対渡さないと言っており,どうしたらよいのだろうか,と泣きながらの訴えでした。

相談担当者に励まされた春子さんは,夫と連絡をとって子どもに会わせてほしいと頼み,何度かの連絡の後,3人で食事をしました。その時の報告を春子さんは,久しぶりに会った子どもが嬉しそうに甘え,帰りぎわに耳元で,「学童保育がいやなので学校の帰りにお母さんの所に行きたい、泊りたい」と言い,どう返事をしたらよいか悩んでしまったと言っていました。

 

 

 

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