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第2節 民間企業における活用業務と利用実態

 

1990年代に入り民間企業では、電子手帳の利用に端を発し、さらに携帯情報ツールの目覚しい発展により、ビジネスにおける携帯情報端末や携帯通信機器の活用が徐々に浸透してきている。携帯情報ツールの民間における利用方法は、大きく一般業務のサポートと特定業務のサポートの2種類に分けられる。

一般業務としては、多くのノートパソコン、PDA端末が標準機能として装備しているスケジュール管理、メール管理及び送受信、アドレス管理などに応用されており、個人の情報差別化のツールとして活用されている。また、企業自体が、特に社外での仕事が多い社員に対して、これらの用途での携帯情報ツールの利用を義務づけている場合もある。

一方、特定業務に関しては、顧客管理、営業活動支援、顧客への情報提供支援、各種調査などの業務のためにあらかじめ開発された適用業務プログラムを、ノートパソコンあるいはPDA端末で稼動させる活用形態が主流となっている。現在、ビジネスにおいて、モバイルコンピューティングともてはやされているケースのほとんどがこの形態である。

民間において、携帯情報ツールは、単にこれまでの既存業務における業務プロセスの一部を置き換えるだけではなく、その特性を生かした新たな業務形態を生み出す効果があることが見受けられる。ここでは、携帯情報ツールを効果的に活用している民間企業へのインタビュー結果を踏まえ、業界別に携帯情報ツールがどのように使われているのか、代表的な利用形態について述べる。

 

2-1 保険業界

 

ほとんどの生命保険会社では、保険外交など移動先での営業活動において、何らかの携帯情報ツールを利用している。代表的な利用形態としては、保険外交員が、PDAあるいはノートパソコンを常時携帯し、顧客への保険商品の説明/顧客管理/保険コストなどの計算/保険設計/営業部員個人のスケジュール管理などをオフラインで利用するものである。さらに、ノートパソコンと携帯プリンターを用いて、顧客との契約締結まで行っている例もある。

また、損害保険業界では携帯情報端末を用いて、保険料金や事故見積の計算を行い、さらに、デジタルカメラで撮影した事故現場の写真を、携帯通信機器でオフィスに転送し、見積作業の迅速化を図るなどに利用されている。

保険業界は、携帯情報端末の活用において最も進んでいる分野であり、将来的にも、携帯通信機器を併用することにより、顧客サービスの向上、営業支援、業務の効率化などの面で、さらに大きな効果を上げると思われる。

 

 

 

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