第3章第3節3-1に述べたとおり、本来カスタマイズ部分はアプリケーション・パッケージ標準の部分とは独立であるように設計・実装されるべきであり、それが実現されていれば著作権の帰属に関する区別も容易につけることができる。また、既存のルーチンやモジュールと新たに開発されたルーチンやモジュールと組み合わせて開発した場合も、ルーチンやモジュールの選択配列に創作性があると認められるときは、編集著作物(著作権法第十二条)ととらえることもできる。
しかし、アプリケーション・パッケージ自身の品質やカスタマイズ設計作業の品質によっては、アプリケーション・パッケージ標準のモジュールの中を書き換えたり、データベース構造の変更を行うといった形での設計・実装が為されることがある。
こうした場合、アプリケーション・パッケージ標準の部分とカスタマイズ部分とがモジュールなどの明確な単位で区別することができず、著作権の設定範囲を決めることが難しくなる。最終的には地方公共団体とパッケージベンダーとの間での取決め次第ということになるが、その取決め自身についてどのような工程を経て合意形成に至ることが望まれるかについて、次節で述べる。