のナイト・サファリは広大なアフリカの草原を思わせる「サファリワールド」で自然のままに生活している動物達の姿を、ケニア号・アドベンチャー号と名付けられたトラムに乗り、夜の動物王国を探検するものである。ゴールデンウイーク期間中と夏休み期間中のように観客がゆっくり滞在するときに、昼間とはちがう動物の夜の生態や動き、目の輝きなどの観察を即すること目的に開催している。夜間の調教が難しいアフリカゾウを除く草食動物、肉食動物、ふれあい広場などすべての施設を昼同様に展示をおこなっている。また、クジラ類の展示も実施し、昼間とは違った活動的な動物の姿を見た観客からは好評を得ており、「アドベンチャーワールド」では観客が昼間とは異なる動物の動きを比較考察することを期待している。観客の理解を促するために、夜の生態を飼育部職員が説明をおこなっている。夜間に開園するメリットは、ゆっくりと動物を見ることができることである。
また、動物に影響のない程度の照明を利用し、特に動物を驚かすような演出もおこなっていないために動物が混乱するような例はみられていない。なお、危険動物については終了後収容舎に収容し安全を図っている。
ナイト・サファリの他にも「アドベンチャーワールド」では多くのアトラクションが用意されている。「サイクリングサファリツアー」と「カートサファリツアー」は個人が自転車やグループでのカートを用いて草食動物のコーナーを巡るもので、ガラスに覆われた乗り物ではなく動物を間近で観察し、給餌するなどして、実際に臭いや空気を感じながら動物の観察をおこなうことができるというものである。「ふれあいミステリーツアー」と「ふれあいスイミング=イルカと泳ごう=」のミステリーツアーはそのときどきで種類などは変わるものの動物とふれあう機会をあたえるもので、「ふれあいスイミング」イルカと泳ぐことができるというものである。「アドベンチャーワールド」では“Feel Nature For Your Emotion"という言葉を掲げ、人の自然に対する理解の促進を図っているのである。
4. おわりに
異なる土地に赴きその土地に固有の事柄を観て楽しむことが観光であるならば、動物園に行くことは観光ではない。なぜならば動物園では色々な国の動物を見ることはできるがしかし、それらの土地に固有の事柄、文化を見ることはできないからである。近年の動物園に見られる傾向に、ただ単に動物を展示するだけではなく、広い意味での「無棚放養式」の理念の基に動物展示をおこなうことにより、動物をとりまく自然をも展示に努めることをあげることができる。つまり、動物園は自然を「文化化」する場所へと変化しているのである。これら「文化化」の進展した動物園では観客が展示されている動物のかつて棲思していた世界の事柄を観ることや想像することは不可能ではないだろう。この想像力を補うための、新たな方法として、観客に夜という時間を見せるために創られたナイト・サフアリがある。ナイト・サファリと既存の