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み、夜の間は涼しく雨が降ることも少ない。この気候を生かして新たな集客施設として、シンガポールの「ナイト・サファリ」はこの種の施設としては世界で初めて遣られた、夜の動物を見ることだけを目的とした動物園である。1994年に「シンガポール動物園」の分園としてオープンした「ナイト・サファリ」はシンガポールにおける夜の観光客の流れに大きな変化をおこすことなった。「ナイト・サファリ」により、「シンガポール動物園」全体の収入が6千2百万シンガポールドル増加したのである。

「ナイト・サファリ」は普通の動物園のように日中にオープンするのではなく、夕方に開国し、夜が更けるまで動物を見ることができるように造られている。「シンガポール動物園」に隣接して造られた「ナイト・サフアリ」は、「シンガポール動物園」では見ることのできない多くの動物を展示し、入り口その他の施設も完全に分離して造られている。観客が「ナイト・サファリ」と「シンガポール動物園」のどちらも楽しむことができるようにとの配慮でもあり、それぞれを訪れる観客が増加することも期待している。

「ナイト・サファリ」の構想にはふたつの革新的な要素があった。ひとつは1986年から1987年のコンサルタントであったLyn de Alwisにより創られた、一般的な動物園のようにある程度の大きさがあるにしても密閉された夜行性動物展示室を造るのではなく、夜行性動物が自由に動き廻ることができる空間のある、開かれたサファリ型の展示にするということである。もうひとつの要素は1980年代後半に「シンガポール動物園」においておこなわれた、ナイトツアーの実験において夜の動物園観光の観客層の存在が判ったことである。これらふたつの要素により、当時の首相であるGoh Chok Tongは1987年3月に常設の夜型動物園を開設し、それを「シンガポール・サファリ」と呼ぶという報告書を出した。

「ナイト・サファリ」は(表5)(図上、2)のように区域分けがなされている。観賞

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