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旅行企業の海外進出における国際経営行動

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?. 研究の目的と方法

本論文の目的は、旅行企業の海外進出*1における国際経営行動を分析することにある。3社のケース・スタディから、日本の旅行企業が自民族(日本人・日系人・日系企業)に基づくエスニックな経営行動を特徴とすることを示す。そして、このような経営行動が形成される理由と問題点を探り、旅行企業の国際化の方向を検討する。

国際観光振興会(JNTO)の報告によると、1996年度における日本人の海外旅行者数は前年比9.1%増、史上最高の1,670万人を記録した。1964年の海外観光旅行の自由化以来、当時12.8万人であった日本人の海外渡航者数は、加速的に増大している。それに対応して、旅行企業の海外拠点数も増加している。

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ところが、日本人旅行者の大部分は日本の旅行企業を利用し、日本の旅行企業も日本人、日系人、日系企業の取扱いを主な業務としている。国際化の窓口となるはずの旅行企業が一見、国際化しているように見えながら、自民族に焦点を当てたドメスティックな行動をとっているのではないか、それはなぜか。このような問題意識から旅行企業の国際化を考える。

研究の対象は、海外進出している日本の総合的な旅行企業である。海外勤務経験者を中心に11名、1人平均2時間の割合でヒアリン

 

 

 

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