東京国際舞台芸術フェスティバルの将来ブィジョン
東京国際舞台芸術フェスティバル(TIF)も、1988年東京国際演劇祭から5回の開催実績、10年の経験が積み重なった事業となった。当フェスティバルを含む舞台芸術環境は、メセナ元年といわれる1990年を境に変化し始め、基盤の整備(インフラづくり)は徐々に進んできた。しかし、今のところ舞台芸術の消費傾向に歯止めがかからず、振興の本質である土壌の拡大(観客の拡大、潜在的観客の掘り起こし=舞台芸術の観客づくり)に有効に作用しているとは言い難い。
こうした状況の中、TIFも公共機関、公共・民間劇場、民間芸術団体、マスメディアとのパートナーシップを強め、インフラとしての機能をより高めていくため、またそれと同時に21世紀に向けて上壌を拡大していく方法を確立していくため、改めて理念を見直し、目的を明確にする必要が生じてきた。
コンセプト1 劇場文化の活性化
東京には、日本全国他地域と比較にならないほどのアーティスト、アートカンパニー、制作会社、劇場、ホール、マスメディアが集中している。これらの社会資本との連携は都市型のフェスティバルとしては必然であるが、今後は、都内の各劇場との協力関係を中心においた形で運営全体を見直し、東京の特性である、劇場文化の活性化をはかるインフラとして機能し、創造、鑑賞の両方にアプローチしていくことで、基盤整備と土壌の拡大という二つの命題に取り組んでいくべきだろう。