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一枚目の詩は高校を卒業するときに私が作り、地元の新聞に掲載されたものです。

反響は大きかったものの、その当時仕事としては何一つありませんでした。

年齢と共に体力は減退し、身体の緊張が強くなって行く中で、寝たっきりの状態になっていくのを待っているだけの日々でした。そんなある日のこと、熊本市福祉センター希望荘で「ワープロ講座」があることをしりました。ワープロか!ワープロは思っている周囲の文字を、打ってしまうことになりはしないであろうかと、とても不安でした。

ワープロ講座が始まりました。やはり思った通りでした。しかし、やって行くうちに少しずつではありますが周囲の文字を打つことが少なくなってきました。

そして五年、キーボードの周囲を打ちながらも、ほとんどの機能を覚え、無理だとは思いながらも、仕事に付きたいと思うようになりました。

一般の所では、スピードを要する。スピードとなると、とてもついていける身体ではありません。たぶん仕事を与えられずに辞めさせられるであろう。そうなると、みじめな気持ち、またうらやましい気持ちになるであろう。このような気持ちにはなりたくはありませんでした。授産所となると、試し通いをしてみましたが、長い年月で固められた、その施設の独特なものがあり、この中に入っての仕事は、心身共にストレスが溜まるばかりになると思いました。

二十数年、自宅にいた私は「テクニカル工房」に来て、一ヶ月半になります。ここには心身共に何の抵抗もなくスムーズに入れました。食事の時介護が必要な私です。介護が必要だということは、それだけ生活面で大変困難なことが多いということです。この身体での仕事となるととても考えられる状態ではありません。スムーズに入れたという所は、一体何であるのか、それは今でも分かりません・・・・。

今日もワープロのキーボードの周囲を打ちながらも、一字一字の中に、ここに生きている事への証しを込め、白い用紙を活字で埋めています。

 

 

 

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