村が平成9年3月にまとめた「羽須美村若者定住計画」での集落に関する分析によれば、平成7年で村内には53集落あり、人口、世帯数とも多いのは旧口羽村の中心地で現在役場がある「根布」で、124名・51世帯、次いで旧阿須那村の中心地「大字阿須那の町」の95名・36世帯となっている。逆に人口・世帯数が少ないのは「細谷」の6人・2世帯、「青石」の8人・5世帯となっている。
高齢者比率が高いのは「上ヶ畑」の78.6%や「大所」の77.8%となっている。また、集落の平均年齢が60歳を超えている集落が10集落、平成2年時点で若年層(15〜29歳)が1人もいない集落が「上ヶ畑」「大所」「細谷」「青石」「大庭下」「川渕下」 「上金井谷」「中郷」「小林」「川角」「原田」「江平」「松木」の計13集落となっている。
(2)集落数の推移
今回(財)過疎地域問題調査会が実施したアンケート調査によれば、羽須美村の集落数は昭和35年4月に56集落、平成9年4月に54集落となっており、この間に2集落減少している。集落が減少した時期は昭和44年以前で、その後の集落の消滅はない。人口は減少していても集落そのものがなくなってしまうようなドラスティックな変化はおきていない。
(3)集落の人口減少の要因
羽須美村全体としての人口減少の要因としては、先に見たように基幹産業の衰退や高齢化の進行などがあげられる。
同アンケートでも個別の集落の状況を確認しているが、人口減少の要因としては「高齢化の進展のための自然減」「若年者の流出による社会減」「地場産業の衰退」といった理由が多くあげられている。地場産業とは農林業をさしているが、農林業が存続できる条件を整えても、必ずしも人口減少が食い止められるとは限らないという。たとえば、村内で同じように圃場整備を行った地区でも、一方は人口減少がそれほどでもないのに対し、一方は歯止めがかかっていないという。要因としては、地区内に住民を引っ張っていけるリーダーがいたかどうかや、子の進路に対する親の意識の差ではないかと、村では分析している。
アンケート調査では、個別の集落として住宅団地や教員住宅なども既存の集落とは別に1集落としてカウントしているため、全部で64集落ほど計上しているが、そのうち再編整備の必要がある集落として11集落が挙げられている。その理由としては、人間・世帯数の減少や道路付け替えに伴う旧道沿い集落の再編、教員住宅など