・ 農林業―耕地面積は597ha、うち田444ha、普通畑92ha、樹園地9ha、牧草地52haで耕地率1.6%は全県一少ない数値である(平成3年耕地面積調書)。経営規模別では、自給的農家(0.1〜0.3ha)が23.0%、販売農家では0.5〜1.0haが27.6%、0.3〜0.5haが21.4%、1.0〜1.5haが15.5%。一戸当たり経営耕地面積は0.77haと県平均1.42haの約半分、零細性と生産性の低さをうかがわせる。また、従業者の高齢化が進行し、担い手確保が大きい課題となっている。
林野面積は34,589haで全町面積の93.0%を占める。このうち国有林が63.0%、公有林5.0%、私有林32.0%(平成2年農林業センサス)。林業就労を人口は総人口とともに年々減少している。高齢化、若年就労者の確保難など林業従事者の確保が憂慮されている。
5 観光
阿仁町は、鉱山の閉山と最近の農林業の衰退に伴い、町の経済的な活路を観光に求めている。阿仁町は北緯40度の町、マタギの里として知られ、森吉山県立自然公園など豊かな自然と優れた民俗文化資源に恵まれ、リゾート地としての環境が整っていることに着目し、活性化戦略を展開している。神秘の狩人“マタギ”の里―マタギ資料館、熊牧場。鉱山時代の歴史を素材にした「異人館」。森吉山のスキー場。町営の温泉施設、等々。
<“マタギ”について>
マタギは、厳しい掟、独特のことば、信仰を持った狩人たちのことで、阿仁町には根子マタギ、比立内マタギ、打当マタギの種族があった。狩猟に出る際は神事を行って身を清め、危険防止や狩猟の方法など綿密な計画を立て、また、ぬけがけの巧名を厳禁するなど、神秘と自然の理法に従って生活した狩人集団。山は山の神が支配するところという山中他界観を持ち、山では里ことばを使用せずに特殊な山ことばを使った。
阿仁町には、このマタギ文化を伝えることを目的にした「マタギ資料館」「熊牧場」がある。狩りの道具、衣装、記録写真などの資料を展示、雪深い山峡を駆けめぐった神秘の狩人たちの姿をしのばせる。