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せるといった保護策をとっていました。数少ないコンデンサーマイクロホンについても、湿度に弱い構造から使用時以外は、マイクロホンを硝子容器に入れ、シリカゲル(乾燥材)を使って防湿保存をしていました。

現在でもレコーディングスタジオでは、このような保護策はマイクロホンの性能維持から必要上とられているもので、現在の音響マンには理解出来ない事かも知れません。

 

(5) 音響マンを目指す人々に接する先輩の役割

今日の物質文明の時代には、通用しないような考え方が昭和30年代の音響マンには、日常的な常識の一部となっていました。古いしきたりのなかで育てられた私達同世代の音響マンには、職人的気質が強く、現代に生きるためにはハイテクニックを身につける職人的根性を持ち続けています。

今日のサウンドサービスの経営者として活躍されている人々のほとんどが、昭和30年代の音響マンであることも事実です。技術革新のなかで、古きもの新しいものが混在する今日、時代の流れに流されるのではなく、職業の確立をさらに高めるため、古き住きもの新しき住きものを身につける中で、私達はさらに発展しなければならないと考えます。そのためにも、親子ほど年令差のなかで毎日の業務がすすめられている業界ではありますが、時代の考えの違いを乗り越え、調和のとれた指導のあり方が今求められています。

それは、モラルの回復にも勇気をもって取り組まなければならないと考えます。

『'86,2,PA技術掲載』

 

2. 音響小噺→舞台用語を知る

今、皆さんは正直言って舞台用語をどの程度認識しているのでしょうか?そこで小噺をひとつ、ある時こんな話があった。舞台仕込みの作業中のことである。舞台監督が「音響さん、板松(松羽目)にドロップを共吊りするので、その下にある機材10分程笑っておいて下さい」との声が音響フロアマンにかかった。フロアマンといえば、業界ではサブオペレーターのことであり、入社後経験的には浅いため(電子工学はプロなのだ!)舞監の指示の意味が判らない。この業界、判らない事があれば、「番頭はんと丁稚どん」の関係(良い意味での徒弟制度)であるから客席にうずくまってゴソゴソうごめいているチーフのもとえ、若さを誇示して舞台鼻から客席へとカッコよくダイビング、チーフへの連絡となったのである。ところが、チーフオペレーター氏、正確な伝言でないためその意味が判らない状況と相成ったのである。小生この動きを目線でバーンニングしながら定式線付近でしばしたたずむ………そのうちに板松は重々しくスタートの気配。まだサブ、チーフの間では禅問答の様子………そうこう言っている間に板松がスタート………,音響スタッフはまだその事情がのみこめない様子。小生(独白………このままではマイクロホンが危ない!)そう思った時は小生マイクロホンにダッシュ、舞監がガナルのと同時の動きである。

音響スタッフはその気配に気がついたのか舞台にダッシュ、しかしマイクロホンに手が触れられないままに事の次第が終わったのである。このような話は、事例が多くみなさんも感ずることがあるかと思います。そこで、舞台用語の基本を以下に述べますので舞台にかかわる上での参考にしてください。

 

(1) 音響用語

■キャノンコネクター

オスXLR-3-11,メスXLR-3-12のことをいう。又、コンセントボックス等に取り付けられているオス座、メス座のコンセントレセプタクルは、XLR-3-31、XLR-3-32、等その他マルチケーブル仕様のものもある。NHK及び一部の民放、ホールでは、SR業界、レコーディング業界と使用方法が逆となっているが、変換などを用い対応しています。

 

 

 

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