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震災対策について一地震と舞台装置の関係

 

NHKアートデザイン本部 チーフデザイナー 菅野起徳

 

【講義の概要】

地震の大きさ

地震の大きさとして、一般に次の3つの表現が用いられています。

その1つとして、震源地における地震のエネルギー量(大きさ、強さ)を数値化して表すマグニチュード(M)という単位があります。マグニチュードは、関東大震災(1923年)において7.9(M)であり、今回の兵庫県南部地震(1995年)では、7.2(M)でした。

これに対して、震源地から離れた場所で地震の揺れを受けとめる人間、舞台装置そして建物などがあります。このような物体などに作用する力学的な地震力すなわち地震の水平加速度を表す単位として、ガル(cm/sec2)が2つ目になります。関東大震災では388ガル、兵庫県南部地震では818ガルでした。地球上で物体が落下する加速度は、980ガルありますので、兵庫県南部地震の818ガルはこの数値にかなり近いものです。

3つ目として、地震力によって、物体が1秒間にどの程度変化したかを表す単位である、カイン(cn/sec)があります。兵庫県南部地震では、92カインつまり秒速92(cm)の数値が観測されました。

 

物体と地震力

このように地震は、発生時に、舞台装置、舞台機構、スピーカー、イントレそしてコンピュータ機器など、すべての物体に地震力として作用します。

そして地震力が大きい場合、想像を越えた力でもってあらゆる物体を破壊してしまいます。

ここで、物体に作用する地震力がどのくらいかを求める式を詳解します。

図-1のような形状の物体の場合、地震力は、次の式で求めます。

 

034-1.gif

 

つまり、式(1)から分かるように物体に作用する地震力の大きさは、物体が設置されている建物内の階数によって異なり、また、物体重量に比例して大きくなります。

 

 

 

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