元、プログラム・モデル、患者の構成に影響してきます。
以上説明した5種類の主なヘルスケアの環境は、独立して存在しているのではなく、その連携は、コミュニケーションの効率化と高齢者サービスの調整に役立っています。
この講演では、話を病院から始めたが、痴呆性老人は、他の組織のいずれからもネットワークに参加することができます。痴呆性老人が入院すると、まず、診断を下し、治療方針を決定するだけではなく、退院予定を立てるために、医学、介護、社会的評価が行われます。退院の計画者は、病院の多分野にまたがるチームと連絡を取り、患者の退院時期ならびに将来必要となるサービスを決定します。病院以外のサービスが必要な場合、退院の計画者は、患者と家族と相談し、適切なコミュニティサービス機関、入居場所あるいは養護老人ホームと連絡を取ります。各サービス機関または施設は、1つのサービスから他への移行にあたり必要とする情報について、それぞれに要件を設けています。患者が次のサービスに移動するにあたり、患者の記録の写しあるいは概要に添付される照会状において、ケアチームの各メンバーが検討する分野は、以下のとおりです。
【入退院に必要とされる患者の情報】
・ 行政 : 保険の補償、病院の承認
・ 医学 : 診断、身体障害、事象、状態・治療、褥瘡
・ 日常生活の移動・活動 : 入浴、着替え、食事、排泄、歩行、移動の介助
・ 行動 : 言語および身体的混乱の頻度および予測の可能性、幼児性、不適切、身体的攻撃などの行動、幻覚
・ 専門サービス : 物理・作業療法の種類および頻度、往診、向精神剤その他の投薬
・ ケアおよび禁制のレベル
・ 設備・備品
・ 社会、家族、生活の手配:機能性および援護のニーズ
養護老人ホームに照会された場合、上記8つの分野の情報を勘案して、健康状態、リハビリテーションおよび個人的なケアの必要性に基づき、入所資格が判断されます。いったん養護老人ホームに入所すると、州によっては、病院に移る場合、養護老人ホームの看護およびソーシャルサービス部門が病院の同部門のスタッフと毎日連絡を取り合うことが要求されます。養護老人ホームの医師が通常、病院においてもケアを続け、養護老人ホームに患者の様子が連絡されるのです。
在宅ケアまたは成人デイサービスに照会された場合、照会した病院または養護老人ホームから患者の情報が送付され、これらのコミュニティ組織のソーシャルサービス・スタッフの看護婦コーディネータが、自宅環境の評価を行います。在宅ケアプログラムを設置している病院は、このような連携の取り決めにより、退院後も患者に連続性のあるケアを提供することができると同時に、他の病院のサービスを補完し、コミュニティ内の照会ネットワークを強化し、他の病院サービスに潜在的患者を提供できることなどを実感しています。
あらゆるヘルスサービス・プログラムにおける患者の評価は、場所を問わず、定期的に行われ、これらの評価結果は、患者の記録に記載されます。多くの場合、1つのサービス環境から他の環境への移転に伴い、以前患者のケアを行っていた組織と、サービスの照会命令を書いた患者の担当医に、概要が送られます。
養護老人ホームは、サービス改善のために継続的に綿密な調査の対象となっているため、養護老人ホームがコミュニティ機関との連携から得た、
・ 患者の病歴、関心、家族、活動に関する知識の増大
・ 有効な行動介入に関する知識の増大
・ 混乱に影響を及ぼす環境要因に関する知識
・ スタッフの患者に対する態度および関与の改善
・ 患者中心の日常業務へのより多くの配慮
・ 身辺処理能力の増大と維持により多くの時間を割く
・ 患者のケアおよび施設の方針に対する家族の関与の増進
などの利点について、報告内容を検討することは、興味深いことです。
高齢者住宅・居住ケアでは、コミュニケーションのラインが上記の4つのサービス環境ほど予測できるものではありません。居住ケアを受ける高齢患者が異なるレベルのケアが必要となり、代理人がいない場合、保健の専門家ではない住宅管理者が計画を策定し、現在の生活の手配を終了する手はずを行わなければならない事態になることも多くあります。しかし、州の地区高齢化機関を通じて専門家のケース・マネジャーを確保することができ、また、入居施設が地区の養護老人ホームと協力関係にあって、そのレベルのケアへの移動が容易となっている事例もいくつかあります。
利用しやすい総合的なサービスの提供が、アメリカの