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け、痴呆患者のケアに対する一般市民の苦情や懸念に対処している養護老人ホームもあります。スペシャル・ケア・ユニットは、専用ケア・ユニット、アルツハイマー・ユニット、痴呆症ユニット、集団ケア・ユニットともよばれています。SCUの特徴のいくつかを以下に示します。

 

【スペシャル・ケア・ユニットの特徴】

・ 警報システム、錠前付きドア

・ 養護老人ホームの一般ユニットより患者数が少ない

・ 患者に対するスタッフの比率が高い

・ ユニット・スタッフの特別研修

・ ユニット・スタッフおよび家族のための支援グループ

・ 特別活動

・ 環境デザインの特徴

・ 散歩用の区域が確保されている

・ 拘束を控える

・ 向精神剤の多用傾向

 

SCUは、特にアルツハイマー病および関連疾患の患者用に隔離された生活区域です。SCUの様式はきわめて多様であり、大半は、スタッフに特別研修を施し、精神の散乱や錯乱を招くような知覚刺激を最小限に抑えることにより患者の事故の危険性を低減するよう設計された物理的構造を備えています。一般に、SCUは、疾病のマイナス面を削減し、できる限り自立性を増大し、患者にとって最大限の生活の質(QOL)を維持するサービスの提供に専心しています。

大半のSCUは、1983年以降に設置されたもので、米国技術評価局によれば、養護老人ホームの10%以上は少なくともSCU1棟を備えていると推定されており、収容人数は、1棟あたり8〜49人です。また、施設以外でも、居住施設や生活援護施設にいくつか注目すべきSCUが設置されており、これらは、養護老人ホームにみられるような厳しい規定に従う必要がないことから、より革新的です。アメリカのSCUは、ほとんど例外なく、予想ほどまた諸外国に比しても、設計において革新的ではありません。

とはいえ、SCUは、一般の養護老人ホーム棟では入所に不適当と考えられる痴呆症の入所者のケアを行い、痴呆患者のみならず家族の精神的なサポートの必要にも注意を喚起するうえで役に立ってきました。

 

3. 老人住宅・居住ケア

これらは、宿泊と食事および24時間の監視を提供する非医療コミュニティ住宅です。以下に居住ケアの特長をまとめてみます。

 

【居住ケア・サービスの特徴】

・ 生活支援を受けながら自立した生活を送る

・ 食事

・ 交通手段

・ 組織化された活動

・ 家事・洗濯

・ 個人的ケア

・ 専門の看護指導監督

・ ケースマネジメント

 

基本的には、集合住宅の設計で、これに高齢者が安全な環境で日常生活を送れるように援助する一定の特徴が設けられています。これらの施設のなかには、構内に小規模ですが、専門の介護ユニットを置いているものもあります。この種の施設は、賄い付きケア施設、成人助成ケアホーム、生活援護施設、グループホーム、退職老人ホーム、住居ケア施設ともよばれています。

これらの施設の多くは、サービス提供者としての規制を受けていないため、正確な数は把握されていません。痴呆患者の数も不明ですが、配偶者が痴呆症であったり、また加齢とともに自身が痴呆症となった入居者も入居が認められています。

近年、大手ホテルチェーン2社が、住居スペースが必要な自立した高齢者、あるいはケアを必要とする高齢者に有料でサービスを提供するキャンパスのような住居を建設し、老人住宅のモデルを開発しました。これは継続ケア退職者コミュニティともよばれています。生活援護サービスを受ける入居者は、通常、別の区域に収容されており、プライマリケアの医師が要求されます。

 

4. 在宅ケア

アメリカにおける在宅ケアは、組織化されたコミュニティ・ヘルスケアサービスとして1800年代に始まりました。とはいえ、在宅でのサービスは、アメリカではもっと以前から行われており、最も長い伝統をもっています。12,000以上ある提供機関は、障害をもつ高齢者に大いに利用されています。在宅ケア機関には、コミュニティ内で独立しているものもあれば、病院や養護老人ホームが設置し、その構内にあるものもあります。

在宅ケアには以下のようなサービスがあります。

 

 

 

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