んです。この頃釣り人のマナーで、よく釣り人がごみを残して帰るとか、糸の切れ端を残してそれが鳥に巻き付いて大変だとか言われては、釣り人のマナーとよく言われるんですけど、僕たち釣り人の人口三千万人なりますと「釣り人のマナーだ」等と、いうそういう矮小な論議だけではだめで、日本人そのものの僕はマナーだと思います。
ニュージーランドなんかでみておりますと、実に見事なんです。ごみをつくらないということです。ニュージーランドでは、僕ら船をチャーターして釣りに行きます。大きいのが釣れますと、それを魚拓にのこしたいんです。そう思って、最初にいったとき港に上がって、「あっ」と驚いたんです。全部釣った魚はえらをはずされ、腹をだされて、魚拓にとれないようになっているんです。くれぐれも注意しませんと、ニュージランドでは、釣れた魚は帰港するまでの間に全部、はらわたもエラも出します。僕らが、船の上でつくったごみも全部より分けまして、生ごみ、要するに自然界で分解されるごみは、決しておかまで持ってこないんです。全部海に投げるんです。ごみの中でビニールとかタバコとか、そんな物は厳重に持って帰る。しかし、食べ残しの野菜とか、それが自然に返るものは、全部帰るまでに海に捨てる。それが魚を育てて、自然に返すことなんです。ニュージーランドの人というのは、そういう意味合いで完全に徹底した生活をやっておりました。
そんなニュージランドの話をしますと、ニュージーランドは、日本から北海道を除いたくらいの小さい国で、人口は350万人くらいだと、それだったらそういうこともできるだろうという方もいるのですが。
それでは、日本より人口密度の高い国でどんなことをやっているか。シンガポールをご存知の方も多いと思います。シンガポールの一番正面というのは、海岸でマーライオンというシンガポールを象徴するライオンの像があります公園です。あそこのどこに工場があって、立入禁止のコンテナ埠頭があって、みんな裏があります。
あそこに旅行しますと、どこのホテルに泊まっても貸切りバス横着けということはありません。「何時に回ってきます。すぐ飛び乗ってください」と駐車している時間もないほど。買い物に行ってもそうです。しかし、あそこのクーロン半島の先端、およそ2キロを都市改造をしまして、80メートル幅の遊歩道に改造されました。買い物に行ってる方はご存知だと思いますが、あそこの一番眺めがいいクーロン半島のちょうどペニンシュラホテルの前までの間、80メートルが遊歩道になっております。
日本で遊歩道を造ったり、公園を造ったりと都市改造というのは、必ずそこに大きな建物を立てる。
ニューヨークのマンハッタンで一番南側に、バッテリー公園というのがございます。これは、自由の女神に行くフェリーが通っていますから、皆様方も自由の女神に行かれたら、よく行かれる場所です。しかし、あそこは下町のごみごみとした町工場があったところです。それを都市改造して、公園にしました。日本の都市改造で、町のど真ん中を全部パブリックスペースにするという発想は、残念ながらございません。
世界で一番きれいな町といわれるのが西オーストラリアのパースです。これは僕だけが言うのでなくて、兼高かおるさんも世界中をあれだけ歩き回りまして、一番きれいな町はというと間違いなくパースだと言います。そのパースのメインストリート、一番にぎやかな通りで高層ビルが並んでるすぐ裏側が、ものすごく広い芝生だけの公園となっております。元々、公園の多い町と言われるくらい、公園の中に町があるといわれているところです。
それにしても、目抜き通りの横になんでこんな広い芝生公園があるんだろうかなと思いまして、向こうで在住25年の大学教授をしています釣り仲間に聞きました。そうしたら、「あら、小西さん、知らなかったの。あれは元の飛行場」。町中にあった飛行場をそっくり芝生公園にしております。そういうふうな物の考え方は、日本にはありません。それが、大阪の今の町づくりになったんでは