3. 建設廃棄物削減とリサイクル推進
(1) 活動の経緯
当社においては、前述の「行動計画」に基づく活動以前から「廃棄物0運動」として、各本支店、個々の作業所において様々な試みが積み重ねられてきました。
これらの活動の延長線上で「竹中工務店地球環境憲章」の中に建設に係わる省資源、廃棄物削減・リサイクル推進が謳われ、それを受けた「行動計画」において廃棄物削減目標が具体的に設定されています。そして、これが全社的な方針展開に反映され、各作業所は協力会社と連携しながら目標達成に向けて取組んでおり、これらの活動は、国のリサイクル推進功労者表彰事業において建設大臣賞(92,93,96)、さらには内閣総理大臣賞(1994)の受賞など社会的にも評価されつつあります。
(2) 活動実績と活動事例
「行動計画」における廃棄物削減目標達成に向けては、以下に示すような全社的な活動を推進し、定着化を図っています。
?@ 全社的な活動:
全社的推進体制の整備と規定.マニュアル類の整備
リサイクル情報提供システムの構築
推進キャンペーン等教育・啓蒙活動
?A 設計段階の活動:
廃棄物削減に有効な複合化工法導入の推進
廃棄物削減工法導入の検討システム構築
?B 施工段階の活動:
モデルプロジェクトでの集中的活動
廃棄物発生量・リサイクル率の調査と管理
優良作業所の活動事例の全店への水平展開
行動計画での全社の施工床面積当り廃棄物排出量は、1992年を基準に5年間で50%の削減を目標に掲げてこの様な種々の活動をしていますが、1994年度は35%、1995年度は47%削減できましたが、1996年度は37%と削減率が低下傾向になり、最終年度の1997年度での50%達成に赤信号がともる共に、最近は廃棄物削減方策に限界感が出てきており、1997年度での目標達成に向けては廃棄物減量に加えてさらなるリサイクルの推進に活動の重点が移行しつつあります。
リサイクルについては、本支店単位で処理ルートを確立し、また、指定副産物4品目の再生資源活用実績を把握し、リサイクル促進のための「リサイクル情報提供システム」を構築・活用したり、新たな再生資源を活用するための技術開発を推進したりしています。
(3) 今後の課題
建設廃棄物削減・リサイクルの推進活動一般については次のような新たな課題が顕在化しており、官民が協力して実現に努力する必要があると考えます。
?@受注条件・作業環境条件の制約で分別収集での分別法の標準化が困難である。
?A建設資材の組成分の多様化が分別を困難にしており、法律で分別種別の設定と表示義務を設けることが必要。
?B中間処理施設の整備促進のために公的な支援体制確立が必要。
?C再生資源流通マーケット整備とメーカーの取引制度を社会システム化する必要がある。
?DLCAによる建築物の長寿命化設計で解体廃棄物の削減につなげる必要がある。
建設業としては、今後とも自社の体制整備に努力することは無論、排出事業者としての意識の涵養と廃棄物対策の徹底を早急に実現することが必要と考えられます。
行政においては、建設副産物のリサイクル推進のための関連法規整備や連絡協議会設置、融資制度の設定などが進められつつあり、自治体においても基準整備や処理施設整備に取り組みがなされているものの、建設廃棄物の中で問題の多い混合廃棄物に関する取り組みは始まったばかりです。今後は、中間処理事業者を保護育成する社会システムの整備や、再生資源に対するマクロ的な行政の市場調整と強力な行政指導が必要になってくると思われます。
以上