国母工業団地工業会
石井迪男
(産業廃棄物処理研究会会長)
国母工業団地の“ゼロ・エミッション”への取組み
1. 取組みの背景
・深刻さを増す地球環境問題について入居企業23社が共通の認識に立ち、1992年には環境調和型工業団地を目指す方針を確立し、「産業廃棄物処理研究会」を発足させた。
・特に山梨県は産業廃棄物の最終処分場を他県に依存しており、このままでは将来生産活動に大きな支障が出るという危機感がある。
・組織的には23社間に協同組合「国母工業団地工業会」という共同事業基盤が有り、この取組みもその事業の一環として位置づける一方、県内企業500社で組織する「環境に関する企業連絡協議会」の具体的組織活動として地域展開に結びつけている。
・尚、団地内企業の多くがIS014001認証取得(すでに2社取得済)を目指しており、そのことも全体のまとまりにプラスした。
2. 具体的な取組み内容
第1ステップとして
・1995年11月より紙類の共同回収リサイクルをスタートさせた。
・それまで各社がそれぞれの焼却炉で処理していた紙類を各社が上質紙、新聞、雑誌、パンフレットその他に分けて分別収集し、それを団地内共同の「リサイクル推進車」により回収し、上質紙は上質紙に、新聞、雑誌、パンフレットその他はトイレットペーパーにリサイクルしている。
・更に、再生されたトイレットペーパーを各社が購入することで、循環型のリサイクルシステムをつくり上げている。
第2ステップとして
・1997年1月より廃プラスチック、木くず、ごみ類のリサイクルシステムをスタートさせた。
・これまで埋め立てまたは焼却していたこれらの廃棄物を固形燃料化してエネルギーとしてリサイクルするもので、処理業者の協力を得て固形燃料化のプラントが県内に完成し、そこを通してセメント会社ほかに燃料として供給している。
今後、第3、第4ステップとして
・残りの廃酸、廃アルカリ、汚泥、生ごみ(食堂から出る残飯)の共同処理化を検討しており、特に生ごみについては、共同施設で肥料化し近隣の農家に供給して野菜類を栽培してもらい、それを食材として食堂が買い入れる循環型システムにしたいと考えている。
更に次のステップとして
・第2ステップで出来た固形燃料を団地内で「ごみ発電などに有効活用できないか」また、古紙を「パルプモールドとして積極活用できないか」なども検討に加えている。
・これらの検討は、県(環境局、工業技術センター)、山梨大学、(社)産業廃棄物協会とともに、「産学官ゼロメエミッション推進研究会」として発展的な形で推進されている。
以上