地域対策チーム(Regional Response Teams, RRT)
このチームは、直接現場で事故に対応することは無いが、現地で対応しきれない場合必要とされれば技術的なアドバイスと手段を提供する。
連邦現場統轄指令官(Federal On-Scene Coordinator.以下FOSC)
FOSCは事故現場を担当する連邦政府沿岸警備隊公務員(その地区のポートキャプテン)である。FOSCは事故における連邦政府責任者であり、その任務は連邦政府と現地、州、地域対策チームとの調整を行うことである。また、油流出補償信託基金(Oil Spill Liability Trust Fund)へのアクセス権を持つ。
地区委員会(Area Committee)
地区委員会の主な役割は、計画や対策準備の中心となることである。FOSCの指示に従って地区緊急時計画を作成する。委員会は、連邦、州、地域政府機関から選出された経験豊かな環境対策専門家によって構成される。地元コミユニティの意見は非政府機関のメンバーによって構成される小委員会によって広く取り入れられることとなる。
スペシャルチーム(Special Teams)
事故対応中、FOSCが要請できるチームとしてSpecial Teamがある。Special Teamには、以下に述べる科学的な調整担当を行う専門官や環境対応チームなどがある。
科学的支援調整官(Scientific Support Coordinator)
科学的支援調整官は、化学者、生態学者、海洋学者等が参加する全国に広がる通信ネットワークを駆使し、FOSCに専門的なアドバイスをタイムリーに提供する。また政府や大学、その他民間の機関から得る情報を分析、調整する。緊急時計画や対処訓練のための科学的サポートも行う。
環境対策チーム(Environmental Response Team, ERT)
環境対策チームは、環境に与える危険物の影響に関連する様々な科学的分野を専門に扱う。油処理剤の使用が環境や環境アセスメントに与える影響などについて専門的アドバイスをおこなう。
自然資源トラスティー(Natural Resource trustee, 以下トラスティー)
トラスティーの役割は、1)自然資源に与える被害の拡大なく油回収作業が行われるよう指導、2)損害を受けた自然資源の回復、3)損害額と同額の補償を得ること、である。例として、海洋大気庁 (National Occanic and Atmospheric Administration,以下NOAA)はトラスティーの中でも海洋資源と海洋エコシステムを担当するトラスティーである。
トラスティーは通常その組織の中に自然資源損害アセスメント(National Resource Damage Assessment,以下NRDA)を専門とするチームまたはプログラムを保有している。NOAAの例では、これにあたるのが共同研究チームから成るNOAA損害アセスメントと現状回復プログラムで、損害アセスメントと現状回復のみを専門に扱う。
より専門的なチームとしては、NOAAのRapid Assessment Programがあげられる。これは、事故発生後6時間以内に現場へ到着し、損害アセスメントを専門に迅速な対応を施すチームである。チームは事故発生直後しか入手できない貴重なデータや情報を限られた時間内に収集し、NRDAの必要性の決定付けやアセスメント調査の計画を練る。
カリフォルニア州における油流出事故防止と対策機関
カリフォルニア州魚類鳥獣保護局油流出防止対策室(California Department of Fish and Game，Office of Oil Spill Prevention and Response,以下OSPR)
OSPR室長は事故の対応、油回収作業、自然資源に与えた損害アセスメントを指揮する実質的な権限を持つ。室には様々な担当部署があり、科学、計画、訴訟関係、実施検査、法令、衛生と安全、財務、ボランティア、啓蒙活動等多岐にわたる。科学担当部署ではNRDAや環境上事故の影響が出やすい場所の特定、野生生物の救護活動、研究といった活動を担当している。
州関係省庁油流出対策委員会(State Interegency Oil Spill Committee,SIOSC)
州関係省庁油流出対策委員会はいわば州の地域対策チームで、様々な州政府機関からの代表者によって法令やガイドラインに関する意見やアドバ
