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においてちょうどその役割に使用している。

強化プラスチック炭素繊維でできた新しい圧力ガス容器は、タンク重量を減らすことができる。現在、水素を2倍積み、重量はアルミニウムのタンクに対し半分である。

NE-CARではトランクいっぱい占めていた自動車を制御するための電子機器は、A4サイズのカードになった。それを可能にしたのはダイムラーベンツの研究者とTEMICの仲間の協力のお陰であった。

この開発と平行して、その他のユニットの集積も可能になった。たとえば、電気ステアリング補助装置は駐車等の際にドライバーの助けとなる。さらに、2段の自動変速装置(その前は手動5段変速装置)は運転を楽にし、加速性を改善した。

NECAR?Uを運転した人は誰でも熱狂的である。自動車の運転性だけでなく、スイッチが入ると最大トルクを車輪に伝達する電気モーターのお陰で、スタートからダイナミックに加速することができる。

事実、電気自動車は時速90km程度までスポーティーな走りをすることができる。この点で加速の減少を伴うトルク低下が起きるが、最高110km/hrまで出せる。NECAR?Uは燃料充填無しに250km走行できる。疑いなく、ダイムラーベンツは乗用電気自動車の動力に燃料電池を使うことに対する調査デモンストレーションに成功した。

まだ、研究者達はさらに挑戦的な目標を求めている。次のステップとして、彼らはメタノールで動く燃料電池を作り、さらに小さい車両に搭載しようと考えている。この挑戦のため、燃料電池が必要とする水素を、メタノールから作るための新しいタイプのガス生成装置に関する研究を行っている。実験室レベルでのそのような水素製造装置はすでに存在するけれども、大きすぎて使えない状態である。

しかしながら、研究者達はこの用途に合った小型車用メタノール改質装置は、2000年前にはできるだろうと楽観的に見ている。しかし、燃料電池が市場に普及するかどうかは究極的には、価格を含むいくつかの要因にかかっている。消費者は、燃料電池自動車の価格が、現在の自動車の価格とほぼ同等になったら、興味を示すだろう。

現在、低減しなければならないシステムの大きさ、重量に関し、やることはたくさんある。この目標を実現するためには、燃料電池、その製造法に関する研究及び顕著な技術進展が必要である。しかし、おじけづくような挑戦をしなければならないのに、ダイムラーベンツの研究者達は燃料電池自動車を大量生産ステージに今後のせることに楽観的である。

Hartmut Weule教授は再び言っている。“2,3年前、我々は燃料電池に関する基本的部分を解決したけれども、これらの自動車が道路を占有するのは2020年以降であろう。しかし、現在の最高水準技術が与えられれば、早ければ2010年頃になろう。”いずれにせよ、研究者達はすでに、来世紀に自動車の安泰を保証するための次の過程である、NECAR?Vを目指している。

 

 

 

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