燃料貯蔵システム
燃料電池に必要な水素燃料は、メタノールの改質によって水素と二酸化炭素を生成するか、車両上に搭載した水素から供給する必要がある。水素は圧縮ガス、金属水素化物、低温液体、液体水素化物、低温吸着ガス、または冷却圧縮ガスとして貯蔵できる。メタノールか水素かの選択はFCVに関心のあるエンジニア、システム分析者、政策分析者の間で論争の原因となっている。
メタノールは水素に比べて一つ利点がある。それは常温では液体であり、水素に比べて簡単で安く貯蔵できる。実際メタノールタンクの価格と水素貯蔵の価格の大きな違いがある。
水素燃料FCVよりメタノール燃料FCVのライフサイクルコストはかなり低い。
第一にメタノールは改質器で水素と二酸化炭素に改質されなければいけない。この水素FCVには必要の無い改質器は燃料使用における能率を下げ、燃料電池の設計に悪影響する。また、第二に環境的に一番優しいメタノールの製造方法一つまり木材などのバイオマスをガス化し、気体生成物から液体メタノールを作る方法―は大陽光による電気を使って水を分解して水素をつくる方法より多少環境的に劣る。例えば大規模な農場経営へのエネルギーなどは除草剤、化学肥料、生物学的多様性の損失による、浸食、汚染などを引き起こす。
最近のFCV開発への努力
燃料電池は新しい技術ではない。
ウィリアム・グローブが1839年にイギリスで最初の燃料電池をつくった。1960年代にNASAがジェミニ宇宙船にPEM燃料電池を使い、現在スペースシャトルにはアルカリ燃料電池が使用されている。しかし数年前まで燃料電池は自動車にはかさばって、重すぎるとされていた。過去7年以内では主にPEMタイプの燃料電池の性能が非常に進歩した。さらに昨今では研究者や開発者が低コストの材料や製造技術を考案中である。北アメリカとヨーロッパでは幾つかのFCVデモンストレーションプロジェクトが進んでいる。フロリダのエネルギーパートナーは20KWPEM燃料電池、20KWピーク電池、圧縮水素貯蔵のある水素動力FCVを設計、建設中である。カナダのバラードパワーシステムでは圧縮水素とPEM燃料電池の長さ30フィートのトランジットバスを運行している。
米国エネルギー省ではジョージタウンバスプロジェクト(改質メタノール、リン酸燃料電池、ピークパワーバッテリーを使用)とゼネラルモーターズとのプロジェクト(1996年までにメタノール燃料、PEMパワーバッテリー、バッテリー補足のFCVを完成する予定)の二つのプロジェクトをサポートしている。
また日本とヨーロッパでも燃料電池車のプロジェクトが進んでいる。