所の車両の性能に重要な役割を果たす。このライブラリーにおける議論の目的のために、特段の断りがない限り、物理的特性は、主要な成分、つまりメタンの特性に基づいている。米国の様々な地域におけるパイプライン天然ガスのためのメタンの通常の範囲は、約80%から95%である。カリフォルニア大気資源委員会(CARB)は、車両燃料としての天然ガスに、メタン含有量が88%を超えていることを必要とする仕様を採択した。このタイプの仕様に関してさえも、天然ガスの一般的な物理的特性には、潜在的にかなりの違いがある。
安全に影響を及ぼす天然ガスの物理的特性には、自己着火温度および爆発限界が含まれる自己着火温度(また点火温度として知られている)とは、物質が火花や炎を必要とせず、熱だけを通して発火する最も低い温度である。天然ガスの点火温度は燃料組成によって異なるが、純粋なメタンの点火温度よりは常に低い「天然ガスの推定点火温度は、摂氏450‐500度の範囲である。天然ガスの爆発限界は、体積濃度約5%から15%である。
更に重大なことは、圧縮された天然ガスの漏出は、漏出の周辺領域に引火性のある範囲の大きなガス/空気の混合体を発生させることである。大気に放出されると、25MPaの圧縮天然ガスの1単位容積は200倍に増加する。必要とされる引火エネルギーは、検討されたほとんど全ての自動車用代替燃料の蒸気/空気の混合気に関しては非常に小さい(約0.15から0.30ミリ・ジュールの範囲)。従って、圧縮天然ガスが漏出した場合、長時間かけて液体から気化する同量の自動車用代替燃料の漏出と比較すると、静電気放電等の点火源への接触の可能性が高まる。
天然ガスは、無色で味がなく、そして比較的無毒である,可燃限界は5%、115ppmで臭いを感知できるようにするため、それに必要な量の付臭剤が加えられる。このように、圧縮天然ガスの臭い許容濃度は、約10,000ppmである。従って、天然ガス漏出の周辺にいる人々は、ガスが人々のいる場所において爆発限界に達する前に、その存在を感知することができる。
圧縮天然ガスの最もユニークの物理的特性は、メタンの物理的特性から来るものではなく、ガスが車両用燃料として使用されるために非常に高い圧力で貯蔵されるという事実から来ている。車両の運行に携わる人々の通常の経験をはるかに越える圧力で貯蔵され輸送される材料の存在は、事前対策の標準化と然るべき訓練を要求する。高圧天然ガスの入ったバルブを不注意に開けたり、取付け器具を緩めたりすることは、火災の危険性をもたらすばかりでなく、近くの人々を死に至らしめるような速いスピードでの金属部品や破片の飛散につながる怖れがある。
同じく高圧メタンガスの)存在は、圧縮天然ガスに関する安全性の以前の研究においては全く行われなかった、熱力学的膨張の考察につながっている 高圧シリンダー、または、転送パイブから大気への漏出によるメタンガスの急激な膨張は、非常に冷たく濃密なガスの蒸気雲が発生し、明らかな冷却効果をもたらす。過去においては、標準温度ではメタンは空気より軽いため、圧縮天然ガスの漏出は直ちに上昇するであろうと考えられていた。 この結果、安全設計対策は、メタン蒸気の天井換気およびその感知に集中した。実際、貯蔵タンクおよび転送パイプから大量の漏出が起きたとき、風や循環によって漏出したガスは動き回るので、下の方に移動し低い場所に滞留するということは十分ありえることである。最後は、メタンは暖まり上昇するであろう(引火性の混合気が点火源と接触しなかったと仮定)、しかし、経過した時間およびその時間内における引火性のメタン/空気の混合気の構成を推測することは非常に難しい。
(b)輸送中の火災の危険性