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燃料はそれらがガスの状態でのみ燃焼するので、この液面燃焼速度は蒸発率により規定される傾向がある。このことから、蒸発温度が比較的高いアルコールの液面燃焼速度はガソリンやプロパンなどのような炭化水素燃料より低いものとなっている。

 

健康面の危険性

火災の危険性に加えて、代替燃料の使用には健康面の危険性がともなう。燃料による健康被害のほとんどは、蒸発した燃料の吸引がその主な要因である。蒸発した燃料が健康に与える影響に関する許容濃度(threshold limit value-TLV)は燃料の毒性の尺度である。純粋なメタンとみなされている液化天然ガスの蒸気や酸素を除いて、全ての燃料に関する制限は毒性の影響からきている。これら燃料の許容濃度はより低い爆発限界と、燃料と空気の引火可能な混合気の吸入は健康面でのリスクとなるという前提に基づいている。酸素と天然ガスの場合では、過度の暴露は同様に窒息、につながる。しかしながら、約140,000ppm(14%)の不活性ガスについては、呼吸可能な限界とされている18%より低い値に空気中の酸素濃度を下げることが求められている。

 

メタノールおよびメタノール混合物は200ppmという許容濃度の時間過重平均濃度(TLV一TWA)をもつ、吸入した場合に最も毒性の強い自動車用代替燃料である。 比較の意味で、自動車用代替燃料で次に低い許容濃度の時間加重平均濃度(TLV-TWA)をもつのはエタノールの1000ppmであり、天然ガスの10500ppmと続く。 加えて、プロパンに関してOSHAが設定した人体暴露限界時間の1000ppmという数字がある。

 

環境面の危険性

自動車用代替燃料の流出あるいは漏出が長期にわたって環境に悪影響を与えるとは考えられない。常温・常圧では気化しない自動車用代替燃料のも)つ潜在的な環境への危険性を考えた場合、液体自動車用代替燃料のすべては数ヶ月あるいはそれより短い期間では性質が劣化しないことが知られている。重要な点は液体の自動車用代替燃料が上下水道システムに混入することを防げるかどうかである。水質汚染の検討とは別に、引火性のある液体が水道システムに混入した場合、気化したガスが蓄積し、火災や爆発といった危険が生じるというケースも)実際に考えられる。この問題は水に溶ける性質のメタノールやエタノールなどのアルコールに関しては切実である。アルコール燃料がひとたび水に溶けてしまった場合、これを分離する簡単かつ安価な方法はない。

 

C. 事業所での使用に関する危険性

 

代替燃料を利用する際の安全性、火災および健康面に関する危険性を要約したものである。それぞれの例において、危険性の結果の評価および危険性に関する知識の現状に関する評価は、現在、事業所および運輸関係者によって使用されているディーゼルあるいはガソリンとの比較に基づいている。

 

代替燃料の利用に関連する危険性の要約リストには、以下の8つの危険因子が含まれている。

(a) 引火性

(b) 腐食性

(c) 毒性(窒息、を含む)

(d) 高圧

(e) 高温

(f) 低温

 

 

 

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