第5章 米国における低公害・代替燃料自動車普及動向
8機関の訪問及び一つの国際会議に参加し、低公害・代替燃料自動車普及状況を調査した。各国の低公害・代替燃料自動車普及政策は、その日の状況に応じ、千差万別である。また、本命となる低公害・代替燃料及び自動車も明確でなく、一つの流れを見いだすのは困難である。石油燃料が主流である今日の状況では、逆に一つに絞るのではなく、いろいろな可能性を模索し、それぞれの国情に合ったものを作り出すことが重要なのかも知れない。そういう意味で、各国の情報を収集し日本における低公害・代替燃料自動車の普及に資することは大変重要である。
米国はエネルギー大量消費国であり、従って低公害・代替燃料導入に関して広範に取り組んでいる。また、各州ごとにいろいろな取り組みを行っている。そこで、本報告では米国の最近の状況に焦点を当てて、低公害・代替燃料に関して訪問して得た情報、インターネットを通して得た情報をもとに各州ごとに低公害・代替燃料自動車普及に関する状況をまとめた。
米国では各種代替燃料の導入にあたって、石油危機以来いろいろな調査を行っており、特に使用時の安全性に関する情報は長年の積み重ねがある。代替燃料のエネルギー効率、環境影響と同時に、それらを安全に使用することが導入にあたっての大前提になる。資料集に各種代替燃料の安全性、健康、環境およびシステムリスクに関する評価情報(表題:国立運輸ライブラリー)を掲載した。合わせて活用されたい。
5.1 米国における低公害・代替燃料自動車プロジェクトの概要及び進捗
米国における低公害・代替燃料自動車プロジェクトの概要及び進捗をまとめた。出典は米国DOE資料のFederal Alternative 1996である。
自動車用代替燃料プログラム
概観
小型車
政府による小型車デモンストレーション計画では、代替燃料を使用する乗用車やミニバン、ライトバン、トラックのエミッションを対象に、自動車の性能、燃費が調べられる。連邦政府レベルで、代替燃料自動車を製造業者から購入し、政府の輸送サービスに利用することが求められている。
政府保有のフリート車数は、2万台近くに増加した。費用効果を考えて、現在はサンプルとして、代替燃料自動車337台と改質ガソリンのみを燃料とする自動車146台のみのデータが集められている。
1995年度から、95年モデルの「ドッジ・キャラバン」(圧縮天然ガス車)および、85%メタノール(M85)を燃料とする95年モデルの「ドッジ・イントレピッド」が