なずにガス成分を一定に保つことができないため、膜組織技術の試験は行われていない。圧縮と清浄化にかかる費用が消費エネルギーに占める割合は、原料のガスの成分にもよるが、輸送されるガス全体の約5〜8%に相当する。
4.4 社会的な経費
クリーンな燃料に対する財政面および規制面の奨励措置の導入方法について、多数の選択肢が話し合われてきており、メタンガスも対象のひとつとなっている。一般的に、長期的な補助金は政治家に受け入れられない。政府にとつて、燃料からの税収入が減ることは認められない一方、クリーン燃料などに関する税金が少ないことは、補助金に相当するのかどうかも議論されている。税金は環境関連費用、道路建設、整備費用、安全・事故対策費用にあてられる。排出ガスや騒音に関する全ての社会的な経費が取り込まれない場合、完全な税制上の優遇措置を実施するのに必要な差異を考慮するだけの充分な余裕はないと思われる。
効率よいクリーンな燃料の利用を促進する目的から、非効率で汚染を引き起こすようなシステムにより多くの税金を課すために、税金を多様化する方法が多数議論されている。外部費用の内在化が代わりとなるため、こうした多様化によって税収が減ることはない。
代替燃料委員会は、バイオガスをスウェーデンにおける利用可能な燃料の中で最も環境的にメリットのある燃料と位置づけている。同委員会は政府に対し、バイオガスを他の代替燃料や従来の燃料以上に優位に置くために、税金の引き下げを提言している。
輸送部門の分析を行っているSwedish Institute for Transport Analystts(SIKA)は、都市部およびその近郊における規制対象の汚染物質に関して、社会的な経費を導入する試みを実施した。価格は次の通りである。
(単位:1キログラムあたり、SEK:スウェーデンクローナ)
CO→0 HC→66 NOx→92 PM→1.084
CO2→0.38
これらの価格には、社会的な経費と営業費用が含まれる。支払い元は示されていない。
次の例は、CRTフィルターが備わっている、Mk1ディーゼル(低硫黄)を燃料とする標準的なユーロ2ディーゼルバス、エタノールバス、天然ガスバス、バイオガス、それぞれ1台ずつについて示したものである。年間走行距離は推定7万キロで、ディーゼルバスに比べてガスバスのエネルギー利用率は10%高い。走行距離1キロあたりのディーゼル(Mkl)消費は、4.5キロワット、ディーゼルバスとエタノールバスの熱効率は33%で、ガスバスの熱効率は30%である。