を犠牲にすることなく燃焼のマッチングが可能である。図3-4-3にディーゼルエンジンと比較した燃料消費率を示した。いずれの窒素酸化物濃度の範囲でも燃料消費率は低い。このようにDMEは、現在、排出ガス対策の難しいディーゼルエンジンに合った燃料である。但し、エンジンシステムの技術については、燃料噴射装置の開発等なおも課題はあるようである。
DMEの製造方法概要を図3-4-4に示す。従来は合成ガス→メタノール→DMEという方法をとっていたが、合成ガスから直接DMEを合成する方法が開発されたため、製造コストの低減が図られた。図3-4-5は熱量ベースで軽油、ガソリンと比較した米国南部におけるDMEの経済性を比較したものである。課税前の価価格では、軽油とガソリンの中間にあることが分かる。図3-4-6は、同じくヨーロッパの市場での同一課税条件での軽油とガソリンを比較したものである。同様に、軽油とガソリンの中間にある。DMEは、価格的にも従来の代替燃料に比べ魅力がある。
1998年内には、DMEを燃料としたエンジンを搭載したバスの走行試験がデンマークで開始されるとのことであり、その結果が注目される。
自動車用燃料として普及するためには、インフラの整備が不可欠であり、またそれには大きな社会投資が必要である。ハルダートプソーは、一つの考え方として、現在、LNGの形で海上輸送している天然ガスをDMEの形にして輸送し、電力用に大量に使う可能性をあげている。その一部を自動車用に振り向ければ、コスト的にも当然有利になろう。DMEは、自動車用の燃料としてはまだなじみの薄い燃料であるが、環境、エネルギーに対し大きなポテンシャルはもっており、今後の技術開発が期待される。いずれにしろ、将来の代替燃料の一つとして注目する必要がある。