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3.4 デンマーク

3.4.1 ハルダートプソー社

(1) 訪問日時及び応対者

訪問日時:1998年1月19日

応対者 :Mr. Svend-Erik Mikkelsen

 

(2) ハルダートプソー社概要

所在地:P.0.Box 213 Nymollevej 55 DK-2800 Lyngby

ハルダートプソー社は、触媒研究、エンジニアリングプロセスに関するノウハウ供与、化学プラントの改良に関する技術供与等を業務としており、最近では天然ガスから直接、ジメテルエーテル(DME)を効率よく製造する方法を開発している。

今回の訪問では、DMEをディーゼルエンジンに応用するための研究をしている技術者のMr. Mikkelsenに応対していただいた。

 

(3) 調査概要

ハルダートプソーにおいて、DMEをディーゼルエンジン用燃料として注目するきっかけは、全くの偶然であったとのことであった。エンジンに関しては全くの素人であったMr. Mikkelsenは、自宅の芝刈り機のエンジンにガソリンの代わりにDMEを燃料として使ったところ、負荷を増加させると騒音がひどく、芝刈り機が使えないので、スイッチを切った。ところがエンジンは停止せず、アイドルのまま回り続けた。疑問をもった後は、大学にこの話を持ち込み、その現象の解明を行った。その結果、DMEはセダン価が非常に高くディーゼルエンジンに適した燃料であることがわかった。その後、さらに研究が進み、騒音、エミッション等の優れた点が明らかになってきた。

DMEはメタン基二つが酸素原子を介して結合している。表3-4-1に示したよにその物理的特性はLPGに非常に似かよっている。沸点は低く、常温では気体状態であるが、低圧で液体となる。ディーゼルエンジン用燃料として最も適している点は、セダン価が55以上と高いことである。そのため容易に自己着火が可能である。また、燃料中の酸素含有率が高く、燃焼しても黒煙の発生がない。黒煙の発生がないのでEGR(排出ガス再循環)の技術が使用可能であり、窒素酸化物の低減も期待できる。

図3-4-1にディーゼルエンジンを改良したエンジンでの、米国ヘビーディーティートランジェントモードにおけるDME燃料の排出ガスシミュレーション結果を示した。米国ULEV規制をクリアできる実力があることがわかる。同じく、表3-4-2にはECE R49テストサイクルでのEURO?V(提案値)に対するDME燃料の結果を示した。窒素酸化物、微粒子(PM)に対し有利である。

また、ディーゼルエンジンに比べ騒音が低いことも特徴である。図3-4-2は窒素酸化物と燃焼騒音を比較したものである。セタン価が高いため、緩やかな燃焼になり、燃焼騒音が大幅に低下する。

窒素酸化物と微粒子のトレードオフ関係の制約もなくなるので、エンジンの熱効率

 

 

 

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